2024/01/31
採用

個人事業主がアルバイトを雇う際の手続きや知っておきたいこととは?

現在、さまざまな働き方や雇用形態などが存在しているため、個人事業主の方がアルバイトを雇うといったシーンも容易に想像ができます。
そこで、個人事業主の方はアルバイトを雇う際にきちんと適正な手続きを踏んでいるでしょうか。
これは個人事業主だけでなくアルバイトの方にも注意が必要であり、必要な手続きについて把握しておきましょう。
また個人事業主の方はアルバイトを雇うことによる利点と欠点を理解したうえで責任をもってアルバイトを採用しましょう。

個人事業主がアルバイトを雇う際に知っておきたいこと


具体的に、個人事業主がアルバイトを雇うには何が必要かを把握しておきましょう。

 

労働条件通知書の交付とは?


日本の労働基準法では、労働者に対して労働条件を明確に示すため、労働条件通知書の作成および通知が雇用主に義務付けられています。
この義務を怠った場合、雇用主は最大30万円の罰金などのペナルティに直面するリスクがあり、法令を遵守することが極めて重要です。
また、労働条件通知書は労働者の退職後も3年間保管することが必要です。
これにより、将来的な労働関連のトラブルや疑問が生じた際に、労働条件の詳細を明確に確認できるようにすることを目的としています。
この法的義務は、労働者の権利を保護し、職場環境の透明性を高めるために非常に重要なものとなります。

 

雇用契約書の準備とは?


労働環境における透明性と理解を促進するために、雇用契約書の作成が推奨されます。
この文書は、労働条件通知書や就業規則に記載されている重要な労働条件を明確にし、雇用主と労働者間の合意事項を文書化したものとなります。
労働関連の基本事項を包括的に記載することで、後の労働上の紛争や誤解を防ぐことができます。

また、労働条件通知書と雇用契約書を統合して「労働条件通知書兼雇用契約書」として一つの文書にまとめることも可能であり、これにより労働者は自身の権利と責任を一目で確認できます。

 

労災保険への加入とは?


労災保険はたとえ事業主が一人であっても、アルバイトを雇用する際には必須の加入項目となります。
加えて、アルバイトの勤務が31日以上、または週に20時間以上に及ぶ場合には、雇用保険への加入も必要です。
また、事業規模が拡大し、従業員数が5人以上に達すると、社会保険への加入義務も生じます。
社会保険には健康保険、厚生年金保険や、そして労災保険や雇用保険が含まれます。
ただし、事業内容によっては、従業員が5人以上いても社会保険への加入が任意になることもあります。

 

個人事業主がアルバイトを雇う際の手続き


それでは実際に個人事業主がアルバイトを雇うことにどれほどの意味があるのでしょうか。

 

手続き①(税務署)


アルバイト従業員を雇用する際、個人事業主は税務上の手続きを適切に実施する必要があります。
まず、アルバイトの雇用を開始した日から1ヶ月以内に、事業主は「給与支払事務所等の開設届出書」を所轄の税務署に提出する義務があります。
これは、郵送もしくは直接税務署へ持参することもできます。
次に、アルバイト従業員の給与からは毎月一定の所得税を源泉徴収し、この税金は翌月の10日までに納付する必要があります。
これには、所得税徴収高計算書を添えて、税務署または指定された金融機関での納付が求められます。
さらに、従業員数が10人未満の小規模事業である場合には、源泉所得税の納付を半年に1回にまとめることが許される源泉所得税の納期の特例を利用することができます。
このように、個人事業主はアルバイト給与の支払いに際し、これらの税務手続きを適切に行うことが不可欠となります。

 

手続き②(労働基準監督署)


労働保険とは、雇用保険と労災保険の総称で、これらの関連手続きは労働基準監督署にて行われます。
労働保険に関する重要な手続きには、特定の書類の提出とその締切があり、具体的には、労働保険関係が成立した後、以下の手続きが必要となります。

・「保険関係成立届」は、労働保険関係が成立した日の翌日から数えて10日以内に提出します。
・「概算保険料申告書」は、労働保険関係が成立した日の翌日から数えて50日以内に提出する必要があります。
この申告書は、労働基準監督署だけでなく、所轄の都道府県
労働局や日本銀行にも提出可能であり、提出の際は労働保険料を同時に納付することが求められるので注意が必要です。

これらの手続きは事業運営の根幹に関わるものなので、手続き内容や期限については厚生労働省のウェブサイトで詳細に確認しておくことが望ましいです。
また、ハローワークでの手続きとも共通する点が多くあるため、予め情報を得ておくことで、スムーズに手続きを進めることができるでしょう。

 

手続き③(ハローワーク)


アルバイトを雇用した後、労働基準監督署での初期手続きが完了したら、ハローワークにおける雇用保険関連の手続きに進みます。
この段階では、以下の二つの重要な届出書を期限内に提出する必要があります。

・「雇用保険適用事業所設置届」は、事業所設置の翌日から起算して10日以内にハローワークへ提出します。
・「雇用保険被保険者資格取得届」は、アルバイトが雇用保険の被保険者となる資格を取得した事実がある日の翌月10日までに提出する必要があります。

これらの手続きは労働保険関連の手続きとタイミングを合わせる必要があり、事前の準備と計画的な進行が求められます。
また、従業員が5人以上になるなど、特定の条件を満たす場合には社会保険への加入が必須となるため、その手続きは社会保険事務所で行います。
社会保険の加入条件や対象は時に変わることがあるため、最新の情報に注意を払い、必要な手続きを進めることが大切です。

 

個人事業主がアルバイトを雇う上での利点


個人事業主がアルバイトを雇うメリットを把握することで、まずはアルバイトを雇う必要性があるかどうかを判断する材料にしましょう。

 

効率アップ


アルバイトを雇用することは、効率性と生産性を高める効果があります。
アルバイトによるリソースの補充とスキルの強化は、業務の遂行速度を速めるだけでなく、質の向上にもつながり、経営者や正社員は、より戦略的かつ専門的な業務に集中できるようになります。
また、アルバイトスタッフが担当することで解放される時間を、新しいビジネスチャンスの創出や既存の業務プロセスの改善に充てることができるため、結果として、企業の総合的な業務効率が向上し、長期的なビジネス成長を期待されます。

 

雇用関係助成金の申請


アルバイト採用に際しては、雇用を促進するための様々な助成金や税制上の優遇措置を活用できる可能性があります。
例えば、高齢者、障害者などの雇用を促進するために設けられている特定求職者雇用開発助成金は、該当する人々の社会参加を支援することを目的としたものとなっております。
また、地方経済の活性化を目指す地域雇用開発助成金などもあり、これは特に雇用状況が厳しい地域における雇用創出を後押しするものとなっており、これらの助成金や優遇措置を利用することで、企業は社会的な責任を果たしつつ、経済的な支援も受けることができるため、アルバイト採用を検討する際にはこれらの情報を確認し、活用することも重要です。

 

個人事業主がアルバイトを雇う上での欠点


利点があれば欠点もあることを想定しなければなりません。主な欠点を把握してアルバイトを採用したことによるマイナスな影響を未然に防ぎましょう。

 

手続きなどの労力


アルバイトの採用は、業務の補助やスキルの増強など明確なメリットをもたらしますが、同時に雇用者側の事務負担も増大する側面があります。
雇用初期に必要な契約書の作成や労災保険の加入手続き、そして定期的な給与計算や社会保険の手続きなど、アルバイトを雇用することに伴う管理業務は多岐にわたります。
これらの手続きは、正確でタイムリーな処理が求められるため、これまで行っていた仕事とは別に注力しなければならない課題となります。

 

必要コストの問題


アルバイトの採用と教育は、労力と時間、さらにコストを要するものとなるため、適切な人材を見つけるためのリクルーティング、面接、そして選考には注意深さと手間が必要です。
さらに、実際に採用後も、アルバイトの仕事への適応と成長を支援するためのトレーニングには、特に個人経営者にとっては大きな労力が求められます。
さらには、アルバイトが短期間で離職してしまう可能性もあり、そうなれば投じた時間とコストが無駄になってしまう恐れもあります。
このようにアルバイトには人手不足を解消する即効性がありますが、その裏にあるリスクを考えておかなければなりません。

 

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本記事では個人事業主がアルバイトを雇う際の注意点などについてご紹介してきましたが、給料の受取に関して柔軟な選択肢があると、よりストレスフリーに働けると思います。
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まとめ


個人事業主がアルバイトを雇う際の利点などとともに、必要な手続きもご紹介しましたが、法律で定められているものもあるため不手際があると業務の存続にも関わってきます。
本記事でご紹介したことは最低限として、適正な手続きを踏めるようにしましょう。

執筆者 B.M

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