2026/08/13
採用

面接する側が、AIになった

面接する側が、AIになった

ここ一、二年で、「AI面接」がすっかり珍しくなくなった。応募すると、まずAIが質問してきて、その受け答えを分析する。人事の人と会う前に、画面の向こうのAIと話す。そういう選考が、ふつうに増えている。

数字を見ると、広がりの速さがよく分かる。

アメリカでは、2025年に人事のなんらかの業務でAIを使う組織が4割強。前の年の26%から、一年で大きく伸びた。調査によっては7割を超えるという数字もある。最初の面接そのものを生成AIにやらせる企業も、すでに2割前後。ある大手プラットフォームでは、2024年の最初の3か月だけで、およそ2,000万件の動画面接や評価がおこなわれている。

日本も、同じ方向に進んでいる。採用でのAI導入率は、ある調査で約48%。就活でAI面接を受けたことがある人は2割強、「聞いたことはある」まで入れると6割を超える。大手のAI面接サービスは、導入企業が500社を超え、名の知れた会社もずらりと並ぶ。

便利なのは間違いない。24時間いつでも受けられて、面接官の当たり外れもない。企業からすれば、大量の応募を効率よくさばける。

ただ、受ける側の気持ちは、少し複雑

アメリカの調査では、「採用の判断にAIを使う会社には応募したくない」と答えた人が、なんと3分の2。日本でも、AI面接を経験した人ほど、人と話す面接に比べて「実力を出せた感じ」や「納得感」が薄い、という声が出ている。相手が人でないと、うまく伝わっている気がしない。評価されている、というより、処理されている感じ。その居心地の悪さは、分かる気がする。

ここで私が思うのは、AIの使いどころが、いまはちょっと偏っているんじゃないか、ということ。

いまのAI面接は、ほとんどが「企業が、候補者をふるいにかける」ための道具。選ぶ側の効率化に寄っている。だから受ける側は、どうしても「選別されている」気分になる。

同じAIを、逆向きに使う

でも、同じAIを、逆向きに使うこともできるはず。

私たちがタレントバンクで考えているのは、ワーカーが「自分の価値を、自分で示す」世界。これまでは、企業が「この仕事は何年目だからいくら」と値段を決めて、人がそこに応募していた。これからは逆に、自分はいくらの価値があるのかを、自分で知って、示していく。

その「示す」ところで、AIはむしろ味方になれる。自分の経験やスキルを整理して、伝わる形にする。企業が付与したスキルの証明——スキルサティフィカ——と組み合わせて、「私はこれだけのことができます」と差し出す。AIが、ふるいにかけるための道具ではなく、自分を差し出すための道具になる。

面接する側がAIになったこと自体は、たぶん止まらない。だとしたら、次に考えたいのは、そのAIを、誰のために働かせるか。選ぶ側だけでなく、示す側の手にも、ちゃんと渡っているといい。

出典(2024–2025年):人事でのAI活用率(2025年43%/前年26%、一部調査で7割超)・生成AIによる初回面接(2割前後)・候補者の不信(約3分の2)=各種HR調査(HireVue、業界レポート等)/大手プラットフォームの動画面接件数(2024年Q1で約2,000万件)=HireVue/日本の採用AI導入率(約48%)・AI面接の受験経験(21.5%)・受け手の納得感の課題=JMAM、リコー経済社会研究所ほか/AI面接サービス導入社数(500社超)=SHaiN(2024年)。数値は調査主体により定義・推計が異なるため、幅を持って参照のこと。

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