2026/08/09

「正社員のスキマ」がやってくる

「正社員のスキマ」がやってくる

正社員でも、フリーランスでもない働き方

フラクショナルという働き方が、海外で少しずつ広がっている。ざっくり言うと、一人の人が一社にフルタイムで属するのではなく、複数の会社に“部分的に”関わる。単発の外注とも少し違って、経営やチームの中にちゃんと入り込んで、週に何日か、その会社の一員として動く。「fractional(分数の、部分の)」という名前のとおり、自分の時間を何社かに分けて配っていくイメージだ。

数字で見ると、伸び方ははっきりしている。フラクショナルの専門家向け市場は2025年で約57億ドル、年14%くらいのペースで伸びているという。従事者数も、2022年の6万人から2024年には12万人へと倍になったそうだ。米国の企業の活用率は今の25%あたりから、2026年末には35%くらいまで上がると見られている。目立つのは、フラクショナルCFOやCMOといった経営層の形だ。海外では、上のほうから始まっている。

日本には、たぶん逆の入り口がある

ここからは、私たちが日ごろ考えていることを書かせてほしい。

正直に言うと、日本ではジョブ型の働き方がまだ本当に少ない。だから、自分の価値がいくらなのかを分かっている人は、まずいないと思う。ジョブ型が広まっていないから、値段が分からない。順番としてはそういうことだ。でも、ジョブごとに仕事をしていけば、価値は一つ一つの仕事についてくるものだと思っている。その積み重ねを進めていくことこそ、私たちタレントバンクがやるべきことだと考えている。

そして日本には、幸いなことに「スキマバイト」というものが生まれて、すっかり定着した。時間単位で、そのジョブに対して働く。これはある意味、究極のジョブ型なのではないかと思う。今はまだ「隙間」という言葉のとおり、一日のうちの数時間という単位で動いている。ただ、この流れはだんだん変わっていく気がしている。今アルバイトの領域で起きていることが、これからはもっと長い隙間、つまり「正社員の隙間」のような形になっていくはずだ。

この「正社員スキマ」とでも呼びたい流れは、きっと来る。そして、それこそがフラクショナルということなのだと思う。海外が経営層という上から入ったのに対して、日本はスキマバイトという下から、逆向きに同じ場所へ近づいていく。ジョブ型が根づいてこなかったこの国で、海外とは反対のアプローチから壁を壊してくれたのが、スキマバイトだった。そう捉えている。

どちらの入り口からでも、たどり着く先は同じ

タレントバンクがやろうとしていることは、この二つの入り口をどちらも受け止めることだ。

「いくら」は、働く人が自分の時間と価値に自分で値をつける仕組みだ。一つ一つのジョブに値段がついていくなら、その値段を提示する場所がいる。そしてフラクショナルの人も、スキマバイトの人も、一社にだけ属するわけではない。A社に何日か、B社にスポットで、というふうに、一人がいくつもの会社に同時に紐づいていく。そのつながりごとに実績(サティフィカ)が本人に貯まって、一つのアプリの中で持ち運べる。会社を移るのではなく、増やしていく。その器としては、上から来た人にも下から来た人にも、同じものが使えるはずだ。

海外と日本では、入り口も文化的な背景も違う。それでも、行き着く先は近い。だとしたら、日本のスキマバイトから始まった流れが、いつかタレントバンクを通じて世界のほうへ広がっていく、という順番があってもいい。どちらのアプローチからでも、タレントバンクなら受けられる気がしている。そういう世界を作れたら、けっこう面白いと思っている。

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