
副業を「認める」から、「受け入れる」へ
副業の話は、ここ数年ずっと聞いてきた。ただ、少し潮目が変わってきた気がする。これまでは「自社の社員が、よそで副業してもいいか」という、認める・認めないの話が中心だった。それが最近は、「よその会社の人を、副業人材としてうちに受け入れるか」という、逆側の話が増えてきた。出す側から、受け入れる側へ。企業の関心が、一歩ずれてきている。
数字で見ると
パーソル総合研究所の2025年の調査だと、社員の副業を認める企業は64.3%。3社に2社は、もう認めている。一方で、外部の副業人材を受け入れる企業は29.1%。まだ3割弱だけれど、2年前より4.7ポイント増えた。認める側より、受け入れる側の伸びのほうが大きい。
働く人の側も、副業をしたことがない人でも、28.1%が「興味はある」と答えている。とくに若い世代ほど、関心は高い。やってみたい人は、確実に増えている。
副業は、企業と「つながる」入口
ここが、私がいちばん面白いと思うところだ。副業というと、つい「収入を増やす手段」として語られがちだけれど、本質はそこじゃない気がする。副業とは、自分のできることやスキルを生かして、新しく企業とつながっていくことだ。
一社にまるごと就職しなくても、「この会社と、この部分で関わる」というつながり方ができる。そこで実際に働くこともあれば、関わるうちにその会社のファンになることもある。会社から見れば、これまで接点のなかった人と、副業をきっかけに初めてつながれる。副業の受け入れが広がるというのは、企業と人が「つながる」入口が、どんどん増えている、ということなんだと思う。
つながりは、会社の「プール」になっていく
そして、そのつながりは、一度きりで終わらない。副業で関わってくれた人は、たとえその案件が終わっても、「一度うちと関わったことのある人」として残る。また力を借りたいときに、声をかけられる。ファンになってくれた人も同じだ。
つまり、副業で生まれたつながりは、会社にとっての「タレントプール」になっていく。まるごと一人を雇わなくても、必要なときに必要な力を借りられる、人のつながりの蓄積。私たちは、世界中の企業が、こういう自社のプールを持てる世界をつくりたいと思っている。副業は、そのプールに人が入ってくる、いちばん自然な入口の一つだ。
その上で、「自分の価値」を示していく
企業とつながり、プールに入る。まずは、そこからだと思う。そして、そのつながりの中で初めて、「自分は何ができて、それはどれくらいの価値なのか」を示していく番が来る。順番としては、つながるのが先で、価値を示すのは、その上での話だ。
副業は、その両方を、無理なく経験できる場でもある。まず、できることを生かして、いくつかの企業とつながってみる。関わりながら、自分の力がどこで役に立つのかを知っていく。副業を、その練習の場として捉えると、見え方が少し変わってくる気がする。
まず、つながろう
副業を受け入れる企業は、まだ3割弱。数字だけ見れば、これからだ。でも、認める側から受け入れる側へ、という重心の移り方を見ると、方向ははっきりしている。
大事なのは、稼ぎの多い少ないより、まず企業とつながってみること。一社にまるごと属するのではなく、いくつかの会社と、部分的につながっていく。その先に、自分の価値を示す場面も、自然とやってくる。副業は、その第一歩なんだと思う。