2023/09/04
BtoB決済

キャッシュアウトとは?様々な意味やキャッシュフローの違いについて解説

みなさんは「キャッシュアウト」といわれると、どのようなことを想像しますか?
一般的にキャッシュアウトと言えば、銀行からお金を引き出す「キャッシュアウトサービス」をイメージする人が多いのではないでしょうか。
これもキャッシュアウトの意味の一つです。今回は、キャッシュアウトの他の意味に注目していきたいと思います。

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■キャッシュアウトとは?キャッシュフローとの違い

キャッシュアウトには、複数の意味があります。
冒頭で述べたように、「カードを用いて銀行からお金を引き出すこと」もキャッシュアウトといいます。
他には、仕入れや事業投資により「企業の資金が減少したとき」にキャッシュアウトが使われます。
「キャッシュフロー」は資金の流れを表す際に使いますが、「キャッシュアウト」は資金が減少した際に使われるので、その点が大きく違うでしょう。
キャッシュアウトは会社法においても特別な意味として使われることがあります。

■会社法におけるキャッシュアウト

会社法において「キャッシュアウト」は、少数株主を会社から締め出すことを指します。(別名:スクイーズアウト)
スクイーズアウト(以下、上記キャッシュアウトと区別するためにスクイーズアウトを用います)は対象の少数株主に対して、強制的に株を買いとり、排除するものです。
代表的な目的としては以下の3つがあげられます。

①持ち株比率を100%にするため

企業の合併・買収(M&A)の多くは、株式譲渡によって行われます。
株式譲渡の際、株式を100%渡せない場合には取引が不成立になる可能性があるため、スクイーズアウトがおこなわれます。

②会社の意思決定を迅速化するため

会社の経営方針を決める際には株主総会が開かれます。
重要な決議の際、反対株主は弊害となるためスクイーズアウトが行われることがあります。

③株式代表訴訟のリスクを減らせるため

会社の取締役や役員はその意思決定により会社に損害を与えた場合、株主に訴えられる場合があります。
そのリスクを減らすためにスクイーズアウトがおこなわれることがあります。

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■会社法におけるスクイーズアウトの方法

会社法においてキャッシュアウト(スクイーズアウト)にはいくつかの方法があります。以下ではその方法について説明していきます。

株式併合

株式併合は、複数の株式を一つに統合する手段です。例えば、ある会社が全体で100株を発行しているとし、株主がそれぞれ90株、7株、3株を持っているとします。もし株主総会で10株を1株に併合する決議がなされた場合、株式の配分は9株、0.7株、0.3株となります。この併合により、1株未満の端数株を持つ株主は株式の効力を失い、株主としての権利を行使できなくなります。上記の例では、0.7株と0.3株になる株主がこれに該当します。端数株は合計され、1株分に達した時に市場価格で売却されます。
株式併合は、会社法に基づき「株主総会で2/3以上の議決権が賛成すれば特別決議が可能」と定められています。この方法は、条件を満たすことができれば、全部取得条項付種類株式を使う場合に比べて手続きが簡単であり、効率的にキャッシュアウトを進めることが可能な特徴があります。

株式交換の応用

この戦略は、親会社が子会社に出資している状況で特に有効であり、子会社の少数株主のキャッシュアウトに効果的なアプローチとして利用されます。この手法の最初のステップは、子会社の株式を親会社の株式と交換することから始まります。この交換プロセスを通じて、少数株主が持つ子会社の株式は親会社の株式に置き換えられます。その後の段階として、親会社では株式併合を実施し、株式の保有比率を調整します。この調整により、少数株主の持分を1株未満に減少させることができ、結果的にキャッシュアウトを成立させることが可能になります。
さらに、子会社の株式を親会社の株式と交換する方法の代わりとして、少数株主に直接現金を支払う「現金対価」方式も考慮されます。この現金対価方式では、少数株主は自分の株式に対して現金を受け取ることができます。これらの手法はいずれも、株主総会での特別決議によって決定されるため、適切な株主の承認を得ることが必須です。
これらのキャッシュアウト手法の適用は、少数株主の持分を効率的に買い取ると同時に、企業構造をより簡潔かつ効率的に整理するために用いられます。特に、多様なビジネス構造を持つ企業グループにおいて、これらの手法は経営の簡素化と効率化に貢献します。キャッシュアウトにより、親会社は子会社の経営をより直接的にコントロールできるようになるため、戦略的な経営決定を迅速に行うことが可能になります。

全部取得条項付種類株式

「全部取得条項付種類株式」とは、会社法に基づき、株主総会の決議によって会社がこれらの株式を全て取得する権利を有する特定の株式を意味します。このタイプの株式を発行するためには、企業がまず自身を種類株式会社に変更する必要があります。その後、株式を取得するまでの一連のプロセスでは、株主総会における特別な決議が必要とされます。
この種類の株式を導入する際、企業は既存の全ての株式を全部取得条項付種類株式に変更することが求められます。もともと普通株式のみを発行している企業の場合、この変更は株主総会の特別決議によって実施されます。変更後、企業は全株主からこれらの株式を買い取る決定を行いますが、この際の株式の対価は現金ではなく、新たに発行される普通株式となります。このプロセスでは、全株主が平等に扱われ、少数株主が株式を保有しないように株式の比率が適切に調整されます。
このような株式変更は、企業の経営構造を整理し、統合を促進する効果的な手段です。特に、経営合理化や事業再編のプロセスにおいて、少数株主の影響を減少させ、より統一された経営方針を推進するのに有用です。しかし、この手法は株主の権利や利益に影響を与えるため、法的要件の遵守と株主との適切なコミュニケーションが非常に重要となります。

株式等売渡請求

この手法は、特別支配株主が他の株主に会社を通じて株式の売却を求めるもので、議決権の大多数(90%以上)を持つ株主が使用できます。このプロセスでは、対象となる会社が承諾手続きを行い、少数株主に対して株式売却の通知や公告を実施します。この手続きにより、少数株主は自らの意向に関わらず、保有している株式を売却することを余儀なくされます。また、このような制度を活用することで、特別支配株主は他の株主が保有するすべての株式を強制的に取得することができます。
このシステムは2014年の会社法改正によって導入され、株主総会での決議が不要となるなど、従来のキャッシュアウト手法と比較して手続きが大幅に簡略化されました。この結果、改正以降、この手法は一般的なキャッシュアウトの方法として広く利用されるようになりました。
この手法の利用には、株式市場における適正価格での株式評価や、少数株主の権利に対する配慮が重要であり、この制度を使用する際には、対象会社の財務状況、株式市場での評価、そして関連する法的要件を十分に理解し、適切なアドバイスを受けることも必要です。全体として、この手法は企業統合や事業再編の際に、効率的な株式取得を可能にする強力なツールですが、その運用には慎重な検討と適切な法的手続きが必要とされます。

■キャッシュアウトを行う際に注意したいポイント

キャッシュアウトを行う際には株主とのやり取りも重要になってくるため、繊細な対応が必要になってきます。そこで注意したいポイントについてご紹介します。

スケジュール管理

キャッシュアウトを行う際には、計画的かつ余裕を持った実施が推奨されます。キャッシュアウトには多くのステップがあり、それぞれに時間が必要です。特に、株主総会の特別決議が必要な場合、複数の手順を遵守する必要があります。
まず、特別決議を行うためには、株主総会の基準日を設定する必要があります。この基準日とは、企業の株主名簿に記録される株主を決定するための特定の時点のことを指します。株主として名簿に記録されるためには、基準日の設定が不可欠です。この基準日の設定には、最低でも14日以上前に公告という形で株主に通知する手続きが必要です。
次に、株主総会の準備が始まります。この段階では、株主総会で議論される議題を確定し、株主に対する招集通知を行います。この招集通知には、株主総会の日時、場所、議題などが含まれ、株主はここで初めてキャッシュアウトに関する具体的な情報を受け取ります。
さらに、招集通知を株主に送付した後、実際の株主総会を開催するまでには、法律により14日以上の期間を設ける必要があります。これにより、株主は総会の議題について十分に検討し、意思決定を行うための時間を確保することができます。
以上のように、キャッシュアウトのプロセスは株主総会の開催に向けての複数のステップからなり、全体としては1ヶ月から2ヶ月程度の時間を要することが一般的です。そのため、キャッシュアウトをスムーズに進行させるには、十分な計画と時間の確保が重要となります。

訴えられるリスクの回避

会社法は、少数株主の権利を保護するために、彼らが意見を表明し、その利益を守るための様々な手段を提供しています。これには、反対する株主による株式買取請求権、株主総会の決議に対する差止請求、さらには株主総会決議の取り消しを求める訴訟提起の権利が含まれます。
一方で、キャッシュアウトは、株主を会社から強制的に買い取る手法であり、少数株主の意向に反する行為になることがあります。このため、少数株主からの訴訟リスクが伴うことから、キャッシュアウトを検討する際には、このリスクを最小限に抑えるための適切な対策を事前に練ることが重要です。
対策には、株主とのコミュニケーションを強化し、キャッシュアウトの理由とメリットを明確に説明して、適正な価格での株式買取を保証し、株主の権利を尊重することも必要です。さらに、法的な側面からも、キャッシュアウトの手続きが会社法やその他の関連法規に準拠していることを確認し、法的な助言を求めることが賢明です。
こうした準備と対策を通じて、企業はキャッシュアウトを実施する際の潜在的なリスクを軽減し、少数株主との間の法的な問題を未然に防ぐことができます。また、これにより企業の信用と株主との長期的な関係が維持されることにもつながります。

資金の準備

全部取得条項付種類株式、株式併合、株式等売渡請求、株式交換などのキャッシュアウト手法を実施するには、ある程度の株式保有が前提条件となります。これらの手法を効果的に活用するためには、まず議決権の3分の2以上を取得する必要があります。これは、キャッシュアウトの決定に必要な株主総会の特別決議を通過させるための最低限の要件です。
さらに、残った株式を取得する過程には、多額のコストが伴います。これは、キャッシュアウトを実行するにあたって、企業が追加の資金を必要とすることを意味しており、キャッシュアウトの特性上、個別の株主との株価交渉が不可能であるため、企業は市場価格またはそれに準じる価格で株式を取得する必要があります。このため、特に株価が高い場合、キャッシュアウトには莫大な資金が必要となることが一般的です。
特に、財務戦略とキャッシュフロー管理が重要な役割を果たし、企業はキャッシュアウトに必要な資金をどのように調達し、どのように管理するかを慎重に計画する必要があります。また、キャッシュアウトによる企業価値の変動や株主への影響も考慮し、総合的なビジネス戦略の中でこの手法が適切であるかを判断する必要があります。
最終的に、キャッシュアウトは、特定の株式保有条件を満たすとともに、その実行に必要な資金計画を確立することが不可欠であり、これらの要素を考慮に入れることで、キャッシュアウトは企業の経営目標と財務戦略に沿った有効な手段となる可能性があります。

■まとめ

この記事では主に、会社法におけるキャッシュアウト(スクイーズアウト)について解説いたしました。
スクイーズアウトはあまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、経営者にとって知っておいて損はない言葉です。ぜひ覚えておきましょう。

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執筆者 S.K

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