2023/09/05
請求書

インボイス制度に関係ない業種はあるのか

 

インボイス制度は個人事業主やフリーランスに大きな影響を与える制度となっていますが、
インボイス制度が関係ない業種はあるのでしょうか。
極論をいえば、インボイス制度は売上高が1,000万円以上の業種の人にとってはそれほど関係がない制度です。
今まで売上が1,000万円に満たない免税事業者に対する消費税を把握する制度と言われているので、
今回は売上高が1,000万円に満たないケースが多い業種の中から選択して紹介します。


 

■インボイス制度に関係がない業種とは?


2023年10月からはじまったインボイス制度は、消費税の適切な申告と納付を徹底し、
消費者への透明性を高める税制改革です。
この制度では、適格請求書発行事業者でないと消費税の仕入税額控除ができません。
しかし、全ての業種が対象とは限らず、経営者や事業者は自社がどのように影響を受けるのか、
対象外であればどの対応をするべきかを知る必要があります。

具体的には、医療関係、社会福祉、教育、金融、保険の免税業種は対象外です。
これらの事業者は消費税額を請求書に記載する必要もなく、登録義務からも免除されています。

詳細には、非課税事業者や小規模事業者の一部取引が対象外ですが、
非課税業者も適格請求書発行事業者になる選択をすれば、適用することができます。

事業者や経営者は、自社が対象か対象外かを理解し、影響を受ける業種と必要な準備を把握することが重要です。
税理士や専門家の助けを借りて早急に対策をすることを勧めます。

対象外業種の事業者にとって、税制改革の直接的な影響は少ないかもしれませんが、
システム変更の市場全体の動きや取引先との関係に影響を受ける可能性があります。
制度を理解し適切な対策を行うことは、事業の安定運営に極めて重要です。

 

インボイス制度と直接関わりのない業種パターン


インボイス制度での免税事業者は、具体的に年間課税売上高が1,000万円未満の事業者です。
そのため、これらの事業者は消費税の課税対象外であり、インボイス制度の対象にもなりません。
消費税を徴収し納税する必要がなく、インボイス制度による直接的な影響はありません。
多くは小規模の個人事業主や創業したばかりの企業で、
将来的に課税事業者へ移行する際の準備としてはインボイス制度を理解しておくことが重要でしょう。

しかし、免税事業者でも課税事業者との取引においては注意が必要です。
課税事業者が発行するインボイスは消費税の入力税額控除の根拠となる資料となりますが、
免税事業者は入力税額控除を受けることができません。
そのため、取引先の課税事業者から入力税額控除を活用した価格競争力のある提案を受けることも難しくなる可能性があります。
免税事業者はこのような市場環境の変化を認識し、対策を練らなければなりません。

従って、免税事業者でもインボイス制度に関する知識が必要です。
売上規模を拡大する経営者や事業者は、将来課税事業者となることを見越して、
制度への理解を深め準備を進めることが望ましいといえます。

インボイス対象外となる事業の例


インボイス制度から除外される特定の事業例について説明します。
経営者にとって重要なインボイス制度ですが、全ての事業がこれに含まれるわけではありません。
特に非課税事業を主な活動としている事業者の影響は異なります。
具体的には、消費税法で定められた課税対象外の取引、たとえば土地売買や金融商品の取引が該当します。
これらは消費税の対象とは見なされていないため、インボイス制度の適用外です。

しかし、非課税取引のみを行っている場合のみがインボイス制度の対象外です。
非課税事業を行いつつ課税対象の商品やサービスを提供している場合、
その課税取引はインボイス制度の適用を受け、適切な対応が求められます。
インボイス制度に則り、正確な請求書発行などの対応を怠ると税務上の不利益を被る可能性がありますので、
事業内容を理解し、必要な手続きを進めることが重要です。

このように、インボイス制度は事業の性質によって対応が異なるため、
自社が対象業種か対象外かを明確にすることが経営戦略を立てる上で不可欠です。
制度への理解を深め、適切な対策を講じることで、法令遵守だけでなくビジネスの継続性と成長を支えることができます。

 

■主に影響のある業種


インボイス制度に強く関係する業種としては、「事業者」を相手にする全ての業種が当てはまります。
そのなかで、個人事業主やフリーランスといった業種の人に強い影響があるとされていて、
逆にインボイス制度の影響が少ない業種としては、「消費者」を相手にする業種があげられます。

例えば、美容院や理髪店、ネイルサロンやエステサロンなどの美容系の業種は売上を得る相手が消費者となるので、
消費者に対しては適格請求書を発行する必要がないのでインボイス制度はそれほど関係がないといえるでしょう。
ただし、サロンで使用する消耗品の仕入れについては、
取引先から適格請求書を発行してもらえば仕入税額控除を利用できるので、
そちらの点では関係があるといえます。

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請求書を受け取る側の業種のケーススタディ


インボイス適格事業者との取引の注意点と対応策です。

製造業や小売業を含む事業者にとってインボイス制度は重要です。
仕入れでインボイス適格事業者からの請求書を受け取ることは、税務上の控除を享受するために必要です。
受取人として、適格なインボイスが発行されているかを確認することで、消費税の正確な計算が可能です。

しかし、新しいインボイス制度では、適格なインボイスを発行できない事業者からの仕入れでは、
以前のような消費税の控除が叶いません。
これは企業に大きな影響を与えるリスクです。
調達部門は取引先がインボイス制度に適応しているかを精査し、
非適合事業者との取引から生じる消費税控除の損失を防ぐための戦略を策定する必要があります。

対応策としては、取引先のインボイス適格事業者登録の確認を徹底することで、適
格でない事業者からの仕入れによるコスト増を防げます。
また、契約時にインボイス制度への対応を明確にし、仕入れ価格の見直しを含む再交渉に備えることも必要です。

要するに、インボイス制度の適用が事業運営の効率化と税務の正確性に影響し、
適格事業者との取引で適切な消費税控除を得られるように、迅速な対策が事業者には求められます。

 

請求書を発行する側の業種の影響範囲


インボイス制度の導入により、サービス業から卸売業まで多くの業種の事業者が影響を受けます。
特に商品やサービスを提供する事業者は、消費税控除を受けるために
不可欠な適切なインボイスの発行が義務付けられます。
従って、事業者はインボイス適格事業者として税務署に登録し、
所定の手続きを経て適格性を確認される必要があります。

このプロセスでは、登録申請だけでなく、従業員教育、
精密な税額計算が可能な会計ソフトウェアのアップグレード、業務プロセスの見直しなど、事業運営の基本的な部分に変更が生じるため、準備が重要です。
複雑な取引を行う業種で、正確なインボイス発行のための詳細な指導や体系的なフローの構築も必要になります。
それにより、取引の透明性が高まり、税務上の信頼性も向上します。

結局、全事業者は、インボイス制度への適応により取引先との信頼関係を保ち、
ビジネスの継続性を保つために必要な手順を踏むことが重要です。
これには、適格なインボイス発行の準備として、税務署への手続き遵守に加え、
業務のシステマチックな改善が求められます。
今後の課題は業種を問わず、全事業者にとって重要なポイントです。

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■必要な最低限の対応について


インボイス制度は2023年10月1日からスタートした制度ですが、
2023年の11月現在でもどのような状況になるのか素性としてははっきりしていない制度であります。
そのため、多くの人がインボイス制度への反対運動をしているので、インボイス制度に加入したほうが良いのか、
静観したほうが良いのかわからない人も多いでしょう。

インボイス制度への加入判断については、現在の自分の状況に合わせて行うことがオススメです。
例えば上記でも紹介したように、インボイス制度に加入しなくても取引件数が下がらないような業種の場合で、
年間の売上高が1,000万円を超えない場合はインボイス制度に加入しなくても良いといえます。
しかし、インボイス制度に加入しないことによって適格請求書を発行できないため、
その影響で取引件数が下がるような業種の場合は、
インボイス制度に加入して売上を維持できるような環境を作ることが大切です。

 

■インボイス制度適用外事業者への特例とは?


2023年10月に導入されるインボイス制度がさまざまな議論を呼んでいます。
この新たな制度は消費税の納税義務をより明確にするとともに、経済活動での税の流れを透明化する目的があります。
ただし、インボイス制度の適用対象は全ての事業ではなく、一部の事業者には適用除外の特例が認められています。

この例外規定は事業者や経営者にとって極めて重要です。
特定の基準を満たす事業者は特例の適用を受けて従来通りの税務処理を続けられるためです。
適用除外事業者の特例を利用することで、税務の負担や手続きの煩雑さを減らし、
経営資源を本業の発展に集中することが期待されます。

特定の業種や売上規模に関連する特例条件を理解し、
自社が該当するかを正確に知ることは適切な税務戦略を立てる上で重要です。
インボイス制度の適用除外対象かどうかの基準や、
制度適用後も円滑に事業を運営するための行動計画について実用的な情報を提供してまいります。

 

特定の条件で発行が免除されるケース


新たに施行されたインボイス制度では、
特定の条件に合致する事業者を対象に適用除外の特例規定が設けられています。
具体的には、年間の課税売上高が1000万円未満の小規模事業者がインボイス発行義務から免除されます。
これにより、消費税の納税義務が複雑な小規模事業者でも、税制に対して適切に対応可能になります。

非課税事業者や公益法人、一部の業種の農業者なども適用除外の対象です。
これらの事業者や組織がインボイスを発行しない場合でも、消費者やビジネス取引に支障はありません。
適用除外により、書類作成の手間を省き、事業運営に集中できるメリットがあります。

経営者は、自社がインボイス制度の対象外の条件に該当するか判断し、
不要な負担を避け、効率化を図ることが可能です。
適用除外を申請するには一定の要件を満たす必要がありますので、税務アドバイザーなど専門家との相談を推奨します。

インボイス制度を正しく理解し、適切に対応することが事業の継続と発展に寄与します。

 

特例適用事業者の範囲と手続き


インボイス制度における特例の適用を受ける事業者は、国税庁が提供するガイドラインと通知に従って選定されます。
対象は小規模事業者や非課税事業を営む方々、
学校法人や社会福祉法人などの公益法人を含む特定の基準に該当する事業者です。
適用を受けるには、必要な書類を整え管轄の税務署へ適切な届出を行うことが必須です。

適用を受けるための手続きには、書類一覧や提出期限、届出方法などの複数の段階があり、
その詳細は税務署や税理士法人などの専門家に問い合わせることで明らかになります。
一連の流れをスムーズに進行させるためには、各種書類の準備や照会、
届出工程のきめ細かな配慮と迅速な行動が不可欠です。

したがって、特例適用の対象となる可能性がある事業者や経営者は、
迅速かつ正確に新システムに対応するためにも、業種の確認、関連手続き、税務署への問い合わせを通じて、
インボイス制度への理解と適切な手続きを行うことが重要です。
事業運営に支障が出ないよう、早めの対策と準備を推奨します。

 

インボイス制度の対応において、覚えておきたいポイント


インボイス制度は昨年の2023年にスタートしているため、まだ未対応の場合は最低限のポイントを押さえて対応を検討しましょう。

 

課税事業者は登録申請の手続きへ


適格請求書の発行が求められる課税事業者は税務署に登録をする必要があります。
申請が完了してから、審査に通ると登録通知が届きますが、書面による申請を行った場合は約1カ月、e-Taxでの申請は約2週間かかることを押さえておきましょう。

 

課税事業者は請求書の変更を確認する


インボイス制度の対応に向けて、請求書を適格請求書等保存方式に変更しなければなりません。
適格請求書等保存方式に対応することで、従来の要件に加えて、「登録番号」と「税率ごとの消費税額・適用税率」が必要になります。

 

免税事業者は取引先が免税事業者かどうか確認する


取引先も免税事業者の場合はこれまで通り取引を行うことができますが、課税事業者であり売り手となる場合は、取引自体を見直さなければなりません。そのため、課税事業者になり、インボイス制度に対応しなければならないこともあります。

 

(番外編)適格返還請求書とは?


インボイス制度の開始によって必要な対応についてこれまでの記事でも多く解説してきましたが、
今回は商品が返品された場合や取引先に販売奨励金を支払う場合に交付が必要になる
適格返還請求書」についても触れてまいります。
適格返還請求書は、「返還インボイス」と呼ばれることもあり、
適格請求書発行事業者が、
なんらかの理由で返品や値引きにより売上の返還を行う際に交付するものです。
適格請求書発行事業者は、この適格返還請求書の交付・保存も義務付けられています。
発行が必要となるのは、

・商品の返品が発生した場合
・商品の値引きをした場合
・販売奨励金を支払った場合
・事業分量配当金を支払った場合

などがあげられます。
上記のような返金などを行うのと同時に発行、交付が必要となります。
なお、インボイス制度導入後は、
適格請求書と同様に適格返還請求書も仕入税額控除の適用要件となるので注意してください。
また、金額が税込1万円以下の場合は、
適格返還請求書(返還インボイス)の交付義務が免除となります。

 

適格返還請求書の記載要件について


続いて、適格返還請求書の記載要件について解説します。
正しい経理処理をするためには、要件を満たす必要があります。
フォーマットの規定はありませんが、受け取り手がわかりやすいように必要情報を記載しましょう。
記載要件は下記の通りです。
なお、適格請求書と同様に、記載要件を満たしてる納品書、明細書も適格返還請求書として認められます。

(1)適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
(2)対価の返還等を行う年月日
(3)対価の返還等の基となった取引を行った年月日
(4)対価の返還等の取引内容 (軽減税率の対象品目である旨)
(5)税率ごとに区分して合計した対価の返還等の金額(税抜き又は税込み)
(6)対価の返還等の金額に係る消費税額等又は適用税率

 

 

 

 

 

参考:国税庁「適格請求書等保存方式の概要」

また、適格請求書同様、適格返還請求書にも写しの保存義務があります。
保存期間は、課税期間の末日の翌日から2ヶ月を経過した日を起点に7年間となります。
保存形式・保存方法は、紙面、電子メール、インターネット上での電子データによるものが認められています。

 

■まとめ


今回は、インボイス制度の影響が大きい業種や小さい業種について紹介しました。
インボイス制度は売上が1,000万円以下だった全ての業種に関係すると思われがちですが、
1,000万円以下でも消費者を相手にする業種の場合はそれほど影響がありません。
まずは自分の業種がどのようなタイプなのか判断をしてからインボイス制度への加入を決めたほうが良いでしょう。
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さらに2023年10月からはじまったインボイス制度
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