2023/10/30
請求書

インボイス制度と電子帳簿保存法の関係とは?わかりやすく解説!

2023年10月1日からはじまったインボイス制度と2022年1月1日に改正が行われた電子帳簿保存法。
多くの企業はこれら2つの制度に対応していかなければいけません。
今回はそれぞれの制度についてわかりやすく解説するとともに、両者の関係性について説明していきます。

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1. インボイス制度と電子帳簿保存法の関係について

はじめにそれぞれの制度について説明いたします。
電子帳簿保存法は、税務関係の帳簿書類を紙ではなくデータで保存することを認める法律です。
電子帳簿保存法における「データ保存」のルールは3つに分かれています。

・電子帳簿保存
・スキャナ保存
・電子取引データ保存

2022年に行われた改正により、電子取引における電子データの保存が義務化されました。この点がインボイス制度に関わってきます。
インボイス制度(適格請求書保存方式)は、仕入税額控除の新しい枠組みを定めたもので、仕入税額控除を行うためには適格請求書(インボイス)が必要になります。
適格請求書をメールで送信するといった電子取引で行う場合には、電子帳簿保存法によりデータで保存する必要があります。
それぞれの制度において対応までの猶予期間が設けられています。
インボイス制度では経過措置期間が2029年9月30日まで、電子帳簿保存法では猶予期間(宥恕期間)を2023年12月までとしています。

2. インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは

インボイス制度(適格請求書保存方式)とは、仕入税額控除の新しい枠組みを定めた制度です。
初めに仕入税額控除とはなにか改めて確認していきましょう。
仕入税額控除とは、事業者が消費税を納めるときに「仕入れなどにかかった消費税額を控除する」ことをいいます。
消費税は商品やサービスといった取引に広く公平に課される税で、消費者が負担し、支払いを受けた事業者が納付するものになっています。
ただ、事業者の方も商品を仕入れたときに、別の事業者に消費税を支払っています。
この消費税は本来負担するべき消費税ではなく、商品の生産や卸のことを考えると、2重3重に税がかかっていくことになります。
消費税の二重課税を防ぐために、仕入れなどにかかった消費税額を控除できる仕組みが仕入税額控除なのです。
従来の仕組みでは基本的に「帳簿および請求書の保存」が行われていれば、仕入税額控除をすることができました。
インボイス制度が始まると「帳簿および適格請求書(インボイス)の保存」が必要になります。
適格請求書は従来の区分記載請求書に記載事項が増えたものになります。
また、適格請求書は登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)しか発行することができません。

2-1.インボイス制度でインボイスに記載する項目について

インボイス(適格請求書)で記載する事項は以下のようになります。

①. 発行者の氏名又は名称
②. 取引年月日
③. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④. 取引金額
⑤. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
⑥. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑦. 税率ごとに区分した消費税額等
⑧. 適格請求書発行事業者の登録番号

⑥~⑧は、インボイスで追加された記載事項になります。
上記①~⑧が記載されていない場合、インボイスとして認められないため仕入税額控除を受けることができません。
またインボイスを発行、もしくは受領した際に7年間の保存が必要になります。
インボイス制度に対応していく際には、インボイスの記載事項と保存期間に注意していきましょう。

2-2.インボイス(適格請求書)は登録事業者のみ発行できるのか

インボイス(適格請求書)は、適格請求書発行事業のみ発行することができます。
免税事業者や適格請求書発行事業者でない課税事業者の方はインボイスを発行することができないので注意しましょう。
適格請求書発行事業者になるためには、所轄の税務署に「登録申請書」を提出し、審査を受ける必要があります。
自身の登録番号は審査後に交付される「登録通知書」もしくは国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認することができます。
なお令和5年8月10日時点での、国税庁の発表では登録申請を受けてから登録通知書を受け取るまでに時間がかかるそうです。

・e-taxでの提出の場合:提出から約1か月
・書面での提出の場合:提出から約2か月半
(出典:国税庁 適格請求書発行事業者の登録件数及び登録通知時期の目安について)

登録申請書はe-Tax(国税電子申告)でもできるため、インボイス制度の対応を急ぐ方はe-Taxでの提出がオススメです。

3. 電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、税務上保存の義務がある帳簿や書類を「電子データ」で保存することを可能にする法律です。
同法に基づく各種制度により、経理のデジタル化を図り、書類管理といった負担軽減を目的としています。
冒頭で説明しましたが、電子帳簿保存法には3つの保存方式があります。

①電子帳簿保存
帳簿や国税関係書類のうち、はじめから一貫して電子計算機(PCなど)を使用して作成しているものについては、一定の要件の下、データのままで保存等ができる。 

②スキャナ保存
決算関係書類を除く国税関係書類については、その書類を保存する代わりとして、一定の要件の下でスマホやスキャナで読み取ったデータを保存することができる。

③電子取引データ保存
所得税・法人税に関する帳簿書類の保存義務者は、取引情報のやりとりをデータで行った場合、一定の要件の下、やりとりしたデータを保存することが必要である。

参考:国税庁「令和3年度改正 電子帳簿保存法」

また電子帳簿保存法では、電子データの保存にあたって「真実性の要件」と「可能性の要件」を満たす必要があります。
後ほど詳しく解説します。

3-1.電子帳簿保存法による影響

2022年に施行された改正電子帳簿保存法により「従来制度の緩和」と「電子取引における電子データ保存の義務化」が行われました。
制度の緩和では、事前承認制度が廃止されました。
従来、電子帳簿保存やスキャナ保存を希望する事業者は、事前に税務署長に届け出を行い、承認を受ける必要がありました。
しかし、2022年の改正によりこの手続きは不要になりました。
「電子取引における電子データ保存の義務化」により、メールといった電子取引でやり取りした書類(請求書や領収書など)は必ず電子データで保存しなければいけなくなりました。
電子データを紙で保存している企業は、この改正に対応していく必要があります。
ただ、電子取引における電子データ保存の義務化に対応するにあたって、猶予期間が設けられています。
猶予期間は2023年12月31日です。
電子帳簿保存に違反すると、青色申告の取り消しや追加課税が発生することがあります。
2024年1月1日までに、電子データを安全に保存できる仕組みづくりを行っていきましょう。

4. インボイス制度での電子帳簿保存法への対応は?

ここでもう一度それぞれの制度について整理してみましょう。
インボイス制度は、仕入税額控除をするために適格請求書の発行・保管が必要になる、といった制度で対応の義務はありません。
電子帳簿保存法は、税務上保存の義務がある帳簿や書類を電子データで保存することを可能にする法律で、2024年1月1日から電子取引した電子データを電子上で保存する義務があります。
電子帳簿保存法は対応義務があるため、こちらを優先して対応していく方がいいでしょう。
インボイス制度の導入により、電子上で発行される適格請求書(電子インボイス)を用いたやり取りも増えてきます。
2024年1月1日以降、電子インボイスを適切に保存していくためにも電子帳簿保存法への対応は必要になります。

4-1.電子帳簿保存法でインボイス(適格請求書)を保存する条件について

電子インボイスを含む「電子データ」の保存にあたっては、「真実性の要件」と「可能性の要件」を満たす必要があります。
詳しく確認しておきましょう。

〇真実性の要件
以下のいずれかの措置を行うこと

①タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
②授受後、遅滞なくタイムスタンプを付す
③データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用する
④訂正削除の防止に関する事務処理規程を備付ける

〇可能性の要件

・電子計算機処理システムの概要を記載した書類を備付ける(自社開発のプログラムを使用する場合に限ります。)
・見読可能装置の備付け等
・検索機能の確保する

参考:国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問9

まとめ

インボイス制度と電子帳簿保存法の対応について解説いたしました。
それぞれの制度に対応していく必要がありますが、義務化が伴う電子帳簿保存法については優先的に対応していく方がいいでしょう。
ただ制度は徐々に変わっていくものです。電子帳簿保存法についても改正されてきた過去があります。
定期的に各制度を確認し、適切な対応をしていきましょう。

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執筆者:S.K

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