2024/01/04
給与

給与の管理を明確にして採用率アップへ~給与の決め方ポイント~

 

企業の人事担当者の方は従業員の給与を決める基準をどのように作成しているでしょうか。
給与を決める基準が明確になっていると、従業員としても何を目標に成果を出せばよいかはっきりして、努力しやすい環境が生まれることから、結果として企業の成長と従業員の定着度にも関わってくると思います。
本記事では企業はどのように給与体系を作成しているのかについてご紹介していきたいと思います。

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一般的な企業の給与体系の構成とは?

ひとくちに給与といっても、日本企業の多くは複数の給与を基に給与体系が構築されており、全体のバランスを見て給与体系を整えていく必要があります。

 

基本給について

所定労働時間に対して支払われる賃金、すなわち基本給は、多くの日本企業で月次で支払われるのが一般的な形態です。
特に、日本の企業文化においては、勤続年数に応じて
基本給段階的に上昇する構造が広く見られます。
これは、従業員が会社に長く貢献するほど、その経験と賃金で報いるという考え方に基づいています。
そのため、特定の年次までは、勤続年数が増えるにつれて基本給が徐々に上がることが一般的です。

しかしながら、多くの企業では、基本給と並行して能力給や職能給などの様々な賃金体系を採用しています。
これらは従業員のスキル、成果、職務の内容や責任の程度に基づいて支払われる給与の形態です。
能力給や職能給は、従業員が持つ専門性や職務遂行能力に応じて、その賃金が決定されます。
結果として、これらの給与体系も勤続年数や年齢に応じて上昇する傾向にあることが多く、基本給とのバランスを適切に取る必要があります。

このような状況下では、企業は基本給と能力給や職能給の間で適切な賃金バランスを維持することが重要であり、これにより、従業員のモチベーションを維持し、長期的な人材育成と組織の安定を促進することができます。
また、賃金体系の透明性を保ち、従業員が自身のキャリアパスと賃金の見通しを明確に理解できるようにすることも、企業にとって重要な課題となります。

 

能力給について

社員の専門スキルや能力に応じて支払われる賃金は「能力給」と呼ばれ、特に専門職や技術職など特定の職種において一般的に見られます。
能力給の制度は、個々の社員が持つ特定の
スキル専門知識の高さを給与に反映させることで、その能力に見合った報酬を提供することを目的としています。
このような給与体系は、特にスキルが高い新卒者や、特定の専門知識を持つ若年層の中途社員を採用する際に効果的であり、能力給によって、経験年数に関係なく社員の実力を正当に評価し、報酬を決定することが可能になります。
これは、従来の年功序列に基づく給与体系とは異なるアプローチであり、多様な人材を公平に評価する現代の企業にとって重要な制度です。
一般的に、基本給、職務給、能力給などの各種の給与要素は合算され、月次で支払われることが多いですが、企業によってはこれらの中の一部の要素のみを採用し、月給を構成している企業もあります。

能力給の導入は、企業が個々の社員の能力や貢献度を適切に評価し、それに応じた報酬を提供するための重要な手段となっております。

 

職務給について

職務給は、社員の職務内容の重さや難易度に応じて支払われる賃金のことを指します。
たとえば、管理職や専門職など、
重要度の高い役職に就いている社員に対しては、一般的により高い職務給が与えられるのが通常です。
役職手当などは名目上「手当」と呼ばれているものの、これらも職務給の一形態とみなすことができます。

理論的には、職務給は年齢や勤続年数とは独立した概念であるべきです。
これは、賃金がその人が担う業務の責任や難易度に基づいて決定されるべきだからです。
しかし、実際の多くの企業では、職員がある程度の年齢や勤続年数に達するまではほぼ横並びで昇進させるという仕組みを採用しています。
その結果、職務給は実質的に勤続年数や年齢に比例する傾向になることが多くなっています。

このような給与体系は、組織内での公平性や透明性を保つために設計されていますが、一方で、実際の職務内容や成果と賃金の関連性を曖昧にすることもあります。
したがって、職務給を適切に設定するためには、それぞれの役職や職務の実際の責任と重要性を慎重に評価し、個々の社員の貢献度を適切に反映させることが求められます。
これにより、社員のモチベーションを高め、組織全体の生産性向上につながります。

 

ボーナスについて

賞与、一般にボーナスとして知られているものは、企業の業績に基づいて支払われる特別な給与の形態です。
日本の多くの企業では、
年に2回程度の支払いが一般的ですが、実際には企業の給与支給方針によって、年1回から年4回程度まで支給回数が異なります。
これは企業ごとの業績や財務状況、市場環境によって左右されるものとなります。

賞与の水準は、企業全体の業績、所属する部門や部署の成果、個々の社員の個人業績を総合して決定されることになり、これにより、企業としての成果と個人の貢献度の両方を反映させた報酬体系を実現しています。
ただし、これらの要素の比重は企業によって大きく異なります。
一部の企業では、企業業績を重視する一方で、他の企業では個々の社員の成果をより重視する場合もあります。
そのため、企業は自社の方針やビジネスの特性に応じて、賞与の水準を定める際のバランスを適切に設定する必要があります。
たとえば、成果主義を重視する企業では、個人の業績に基づいた賞与を重視する傾向があります。
一方で、安定した業績を基盤とする企業では、企業全体の成果に基づく賞与を優先することもあります。

このように、ボーナスは単なる追加報酬以上の意味を持ち、企業文化や給与政策を反映する重要な要素となっています。

 

インセンティブについて

成果給、またはインセンティブとも呼ばれるこの給与体系は、個々の社員の業績目標達成度や一定期間内に達成した成績に応じて支払われるものです。
成果給の基本的な考え方は、
個人の成果や貢献度に直接リンクした報酬を提供することにあります。
この給与形態は、社員が設定された業績目標を達成することで、追加の報酬を得ることができるように設計されています。
成果給の支払い方法は企業によって異なります。
一部の企業では、成果給を完全に独立した報酬として支払う場合があります。
他には、ボーナスにインセンティブを合算して支払うことがありますし、年間に複数回支払われる賞与のうちの一回を特にインセンティブの性質を持たせることもあります。
いずれの方法を採用するにしても、インセンティブはボーナスと比較して、個々の社員の業績をより重視してその水準が決定されることが一般的です。

インセンティブの導入は、社員に対する強力なモチベーションにつながります。
また、個々の社員が目標に向かって努力する文化を促進し、組織全体の成果向上にも寄与する可能性があります。
しかし、成果給の設定には慎重な計画と公平性の確保が必要です。
不適切に設定された業績目標は、社員の士気を低下させる原因となるため、目標の設定には現実的かつ達成可能な基準を適用することが重要です。
また、成果給の評価基準が透明で公正であることを確保することも、組織の信頼と正義感を維持する上で不可欠です。

 

給与体系の意味とは?

給与体系の適切な整備は、企業経営において重要な効果を発揮します。
これには従業員のモチベーションの維持と向上、人材の確保と定着の促進、そして人件費の効果的な管理が含まれます。
これらの点は、企業の安定かつ持続的な成長に不可欠となります。

従業員のモチベーション維持・向上は、特に重要なポイントです。
給与は従業員が業務を遂行する対価として支払われ、適切な報酬がもたらされることで、従業員はより積極的に業務に取り組むようになります。
報酬が従業員の期待を満たすか、あるいは超える場合、従業員の仕事への献身度は高まり、企業全体の生産性が向上することが期待されます。

また、新たな人材を確保するためには、魅力的な給与体系が不可欠です。
成長期にある企業では、新しい社員の採用が頻繁に行われますが、地域や業界平均を超える給与を提供できれば、より多くの優秀な人材を引き付けることが可能になります。
これは、特に競争が激しい業界や専門分野での人材確保において重要な戦略となります。

しかし、給与体系を設計する際には、単に高額な給与を設定することだけが目的ではありません。
高い給与体系は同時に高い人件費につながり、企業の財務状況に大きな負担をかける可能性があります。
そのため、企業は社員の満足度とモチベーションを高める一方で、財務の安定性も保つ必要があります。
これを実現するためには、市場の給与水準、企業の財務状況、業務の要求度などを総合的に考慮し、バランスの取れた給与体系を構築することが必要です。

 

社員の給与体系の決め方について

給与はいくつかの要素からなるため、重要なポイントをおさえて適切な給与体系を整えられるようにしましょう。

 

月次で支給される給与のバランスを考える

給与体系を構築する際、基本給、職務給、能力給といった月次で支給される主要な給与項目のバランスを慎重に考慮する必要があります。
これらの給与要素はそれぞれ異なる目的と意味合いを持っており、企業の人事戦略に大きく影響を及ぼします。

基本給は従業員の勤続年数や年齢に基づき決定されることが多く、年功序列の要素が強いとされています。
このため、経験や長期的な勤務に重きを置く企業では、基本給の割合を高く設定することが一般的です。
基本給の高い給与体系は、長期勤務を通じて蓄積された知識や経験を重視する企業文化を反映しています。

一方で、職務給は従業員の職階や担当する職務の責任に応じて設定されます。
経営陣や管理職など高い責任を担う職務に就いている社員には、それに見合った職務給が支給されることが一般的です。
特に、組織の統率力を高めることを重視する企業では、職務給の割合を高くして、優秀な管理職を奨励することがあります。

能力給は、特定の専門スキルや特別な能力を持つ社員に対する報酬です。
研究開発や高度な技術分野など特殊なスキルが重要とされるビジネスにおいては、これらの専門知識やスキルを持つ社員に対して高い能力給を設定することが適切です。
能力給の高い給与体系は、特定のスキルや専門知識を持つハイスキル人材にマッチしており、彼らのモチベーションを高めるために有効です。

このように、基本給、職務給、能力給の各給与要素の適切なバランスは、企業の人事戦略やビジネスの特性に大きく依存します。
各企業は自社の目指す方向性やビジネスの特性を考慮し、これらの給与項目を適切に配分することで、社員のモチベーションを高め、組織全体の目標達成につながります。

 

福利厚生や各種手当とのバランスを考える

住宅手当や家賃補助、時間外手当などの各種手当は、月次の給与と共に支払われるため、実質的には社員にとって給与の一部と見なされることが多いです。
このような手当が給与に加算されることで、給与の総額が意図せず高額になるリスクがあるため、給与体系を整備する際にはこれらの要素を慎重に考慮する必要があります。
社員にとっては受け取る金額が増えるため喜ばしいことかもしれませんが、企業の財務管理の観点からは必ずしも望ましい状況ではない場合もあります。

加えて、福利厚生の充実も給与体系を考える際の重要な要素です。
例えば、無料のランチ提供や手厚い医療保険への加入など、社員の経済的負担を軽減する効果がある福利厚生は、給与とは別の形で社員の福祉を高める方法として重要です。
これらの福利厚生が社員に提供される場合、その企業側の負担を考慮して、給与体系を慎重に設計することが求められます。

 

社会保障の負担額を考える

社会保険料の社員側の負担は約14%とされており、この負担率は固定されているため、給与が増加するとそれに比例して社会保険料の負担も増加します。
給与の総額が高くなればなるほど、社員が支払う社会保険料も増えるため、手取り額に大きな影響を及ぼします。

従業員のモチベーションを高めるためには、給与の総額だけでなく、実際に手元に残る金額、すなわち手取り額が重要です。
そのため、給与体系を設計する際には、社会保険料の増加を考慮し、それでも社員のモチベーションを維持・向上させることができるような手取りベースでの昇給が可能な構造を作ることが重要となります。

 

同地域や同業他社の給与水準を参考に

給与体系を策定する際には、企業の内部事情だけを基準にすることはできません。
自社の給与が、同じ地域や業界内の他の企業と比較して劣っている場合、優秀な人材の流出や新規採用における魅力の低下といった問題が生じるリスクがあります。
逆に、市場平均を大幅に上回る給与水準を設定すると、人件費が企業の財務に大きな負担となり、最終的には企業の競争力を損なうことに繋がる恐れがあります。

そのため、給与体系を設計する際には、同じ地域や業界における他社の給与水準を参考にすることが重要です。
市場平均を理解し、それに基づいて自社の給与水準を設定することで、公平かつ競争力のある給与体系を構築することが可能です。
理想的には、市場平均に準じるか、あるいは少し高めの給与体系を採用することで、人材の獲得と維持につながります。

 

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給与体系を整えることで従業員が働きやすい状態を作るとともに、給与に関しては従業員が受け取るタイミングに選択肢を与えることでより一層の環境を提供できるのではないでしょうか。
具体的には、
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これにより従業員は手持ちのクレジットカードの引き落とし日に合わせて給与を受け取ることや、場合によっては金融機関に依存しない生活の実現にも貢献するかもしれません。
また、
エニペイでは、デジタル給与での受取を可能にし、かつ複数口座への振込ができることから、現代の生活スタイルに合わせた給与の運用が期待できます。

 

まとめ

企業が適切な給与体系を作ることは、結果として従業員のパフォーマンスや健全な企業運営にも関わってくるため、適切な企業活動をするためにも給与体系を整備することは重要な意味を持っています。

執筆者 B.M

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