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「仕事はあるのに、人がいなくて潰れる」
少し前まで、会社が潰れるのは「仕事がなくなったから」だった。でも、いまは違う理由で潰れる会社が増えている。仕事はある。注文もある。なのに、それをこなす人がいない。だから、潰れる。
帝国データバンクによると、2025年度の「人手不足倒産」は441件。前の年度の約1.3倍で、過去最多を更新した。とくに多いのが建設業で、全体の4分の1を占める。飲食、介護、物流。現場で人が要る仕事が並ぶ。黒字なのに、人が採れなくて畳む。そんな話が、珍しくなくなってきた。
「いない」のではなく、「採れない」
ただ、これは「人がいない」という話とは、少し違う。いるところには、いる。スキマバイトには、いまや1,400万人以上が登録して、日々働いている。働きたい人が、いなくなったわけではない。問題は、必要なところに人が「採れない」ことだ。
なぜ採れないのか。突きつめると、仕事の「魅力」の話になる。たとえば建設業で働きたい、という人は、昔よりずっと少なくなった。建設じゃなくても、そこそこ稼げる時代だからだ。人気のない仕事に、わざわざ行かなくても、生きていける。——と書くと、身も蓋もない。でも、面白いのは、その先だ。
そもそも、魅力を伝える「場所」がない
考えてみてほしい。自分の会社の仕事の魅力を、自社サイト以外で、思いきり伝えられる場所って、どれだけあるだろう。
Wantedlyのようなサービスなら、たしかに魅力を語れる。でも、もっと気軽に——「ちょっと話、聞きに来ない?」くらいの感覚で、セミナーみたいに仕事の魅力を伝えられる場所は、あるようで、意外とない。求人サイトは「募集」の場であって、「魅力を伝える」場ではない。会社の側は、そもそも魅力を届ける舞台を、持っていないのだ。
いまは「フリーハンド」で、上手い人だけが得をする
自己表現の重要性は、インターネットで一気に増した。YouTubeがあり、TikTokがあり、Instagramがある。発信できる人が、選ばれる時代だ。
でも、いまはそれが「各自フリーハンドでどうぞ」という世界になっている。だから、発信の上手な会社は上手であり続け、奥手な会社は、ずっと埋もれたままだ。ここに、型があればいい。「こう伝えれば、魅力は届きますよ」というテンプレートやフォーマット。それに沿えば、発信が得意でない会社でも、そこそこちゃんと伝えられる。上手い人だけの世界から、みんなが伝えられる世界へ。
私たちが、やろうとしていること
私たちがやりたいのは、この「魅力を伝える場所」と「伝え方の型」を、用意することだ。
いきなり「募集しています」ではなく、その手前で、「話、聞きに来ない?」と気軽に魅力を伝えられる場をつくる。しかも、フリーハンドでなく、型に沿えば奥手な会社でも伝えられるようにする。そうすれば、これまで不人気とされてきた業種にも、人が振り向く余地が生まれる。
ここで鍵になるのが、「ファン」という考え方だ。ファンは、「働く」の一歩手前の概念だ。応募でも、雇用でもない。ただ「この会社、ちょっといいな」とつながっておく。私たちは、この——本当にライトに、企業とつながろうぜ、という新しいカテゴリーそのものを、つくろうとしている。
これは、敷居の高い仕事ほど効くはずだ。たとえば土木や建築の現場で働くことは、ホワイトカラーで働いてきた人にとっては、逆に敷居が高い。いきなり「応募」は重い。でも、その一歩手前で、ライトに「まず知る、ファンになる」ならどうだろう。高い敷居を、ファンという形で、ぐっと低くできる。まず触れて、好きになって、つながっておく。そうやって集まってくれた人が、そのままプールとして貯まっていけば——面白いと思う。ブルーカラーの仕事を、その一歩手前で、ライトに広げていく。それが、私たちのやっていきたいことだ。
「話、聞きに来ない?」から、始める
人手不足倒産の裏で、本当に足りていないのは、人そのものではないのかもしれない。魅力を伝える場所と、その伝え方。そして、敷居の高い仕事を身近にする入口。それが、まだ足りていない。
いきなり求人を出す前に、「話、聞きに来ない?」と言える場所を持つ。型に沿えば、発信が苦手でも伝えられる。高い敷居は、ファンという形で下げていく。人手不足の時代の一手は、たぶん、そこから始まる。