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外の相場は見えてきた。でも、自分の価値は?
前に、給与透明化の話を書いた。海外では、求人に給与レンジを出すのが当たり前になりつつある。2026年の時点で、なんらかの透明化ルールがある州は、DCを含めて18ほど(数え方で幅はある)。外の相場は、少しずつ見えるようになってきた。
ただ、もっと手前に、まだ見えていないものがある。「自分自身の価値」だ。まわりの相場は分かっても、その中で自分がどのあたりなのかは、案外わからない。そもそも、人の価値って、何で決まるんだろう。
価値は、性格 × スキル × キャリア
私は、働く人の価値は、大きく3つでできていると思っている。
ひとつは、性格。「どういう人か」。これは変えがたいもので、いい悪いの話でもない。ただ、とてもアバウトで、定量的に測ったり、枠にはめて判断したりするのが、すごく難しい。
ふたつめは、スキル。「何ができるか」。資格や学歴も、ここに一部入る。おもしろいのは、これは「できるか、できないか」の話で、実は時間とあまり関係がないところだ。長くやっているからできる、とは限らない。
みっつめは、キャリア経験。これまで何をやってきたか、どれだけ時間をかけてきたか。いろんな経験を積んできた、という蓄積の部分だ。
この3つを掛け合わせて、その人の価値が決まる。そう捉えている。
タレントバンクが「やらない」と決めていること
このうち、タレントバンクではっきり「やらない」と決めているものがある。性格の部分だ。
性格は、定量的に測るのが難しい。だから、そこは性格診断やタレントマネジメント系の、それが得意なサービスに任せればいい。私たちが扱いたいのは、もっと「目で見て、はっきり分かるもの」だ。具体的には、金額の多寡というより、タレントバンクの中の「キャリア」という位置づけで、スキルと経験を登録して、管理していく。そういう仕組みにしたい。
「本当の価値」が見えないと、何が起きるか
なぜ、そこにこだわるのか。これまで、「自分のキャリアの価値」——自分はいくらなのか——は、本当に分かりづらかった。そして、分からないままだと、けっこう不公平なことが起きる。
企業は、価値がはっきり見えない状態で、ある意味「掘り出し物」を探すような感覚で人を採る。そして、うまく採れると「いい人が採れた」と言う。でも、よく考えると、この言葉は少し引っかかる。「いい人が採れた」は、たいてい「自分の価値にまだ気づいていない人を、安く採れた」ときに出てくる言葉だからだ。最初から自分の価値が分かっていて、市場価値も高くて、仕事もできる人に対して、企業が「得した」とはあまり言わない。
つまり、価値が見えないことで得をしているのは、必ずしも働く人のほうではない。企業は意外と、その価値を見誤っていたり、あるいは上手に、控えめに評価していたりする。ここを、ちゃんと見えるようにしたい。働く人が、自分の価値を正しく知って、正しく示せるように。
AIで、測れなかったものを測る
とはいえ、スキルやキャリアを、定性的にも定量的にも測るのは、これまで本当に難しかった。ここは、前回のスキルの話ともつながる。
その難しかったところを、AIで変えられるようになってきた。「どれくらいできるのか」というグレードの判定を、AIに手伝ってもらう。丁寧さ、速さ、仕上がりの質。そういうものを言葉で語れば、AIが整理して、データにしていける。性格のような測りにくいものは他に任せて、私たちは、スキルとキャリアを、見える形に整えていく。
「掘り出し物」を、なくしたい
本当の価値が見えれば、「掘り出し物」という言い方は、たぶん要らなくなる。安く採れてラッキー、ではなく、この人はこれだけの価値がある、だからこの条件で、と正面から言える。
自分の価値を、自分で知って、示せる。企業も、それを正しく見て、迎えられる。私たちが作りたいのは、そういう、見えるところから始まる採用だ。