2023/12/06
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取引先が破産手続を開始したら?企業が知っておくべき適切な手続きと対策

取引先が破産手続を開始した場合を考えたことがある企業の経営者の方はいるでしょうか。
もし売掛金などの回収できていない債権が残っている場合は貸し倒れなどが発生する恐れもあることから放っておける問題ではありません。
債権回収に向けて一刻を争うことになるため、破産手続きが発生した際に取るべき行動を事前におさえておき、被害を最小限に抑えられるように準備しましょう。

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破産って何?基本を理解しよう

取引先が破産手続きに入った際にどのようにして債権を回収するかを考える前に、「破産」とは何を意味する言葉かについて理解しましょう。
まずは破産が倒産のうちのひとつであるということを認識しましょう。
倒産は事業を終了する場合の清算型と、事業を継続する場合の再建型の2つに分かれており、さらに清算型のうちのひとつの方法として、破産があるということになります。
また、倒産という言葉は法律用語ではないため、正式に使われることはありませんが、一般的に倒産というと事業の撤退を意味する破産の意味で使われることが多いです。

        ➡破産
    ➡清算型
        ➡特別清算
倒産
        ➡会社更生
    ➡再建型
        ➡民事再生

破産手続きの流れとは?

まず、破産を求める個人または企業は、裁判所に破産を申し立てます。
この申立てには、財産状況や負債の詳細などが含まれており、申立てが受理されると、裁判所は破産手続きの開始を決定し、破産管財人を指定します。
破産管財人は、破産者の財産を調査し、管理する責任を負うこととなります。
その後、管財人は破産者の財産を換価し、債権者集会を開催します。
債権者集会では、破産者の財産状況や債権者の請求額などが確認され、財産の分配方法について話し合われます。
財産の換価が終わると、管財人は債権者に対して配当を行う流れとなります。
最終的に、裁判所は破産手続きの終結を宣告します。
この時点で、個人破産の場合は、免責決定が下されることがあります。
免責決定が下されると、破産者は残りの借金から解放されますが、一部の借金は免責の対象外となることがあります。
破産手続きは、財政的な困難から抜け出すための法的な方法ですが、信用情報への影響など、考慮すべき点も多くあります。

破産申立て

裁判所による受理と破産手続きの開始決定

破産管財人の指名

財産の調査と換価

債権者集会の開催

配当

破産手続きの終結

債権者への配当が完了すると、裁判所は破産手続きの終結を宣告します。

破産手続開始後の債権の取扱い

破産手続きが開始してからは債権の取り扱いについて変わるため、取引先から単純に回収することができなくなります。
その場合はどのような流れで債権が扱われるかを把握して、最低限の債権は回収できるようにしましょう。

・債権の届出と取扱い

破産手続開始後の債権の届出と取扱いについては、法的なプロセスが非常に重要な役割を果たします。
上述したように、破産手続きが開始されると、まず裁判所は債務者の債権者に対してこの事実を通知し、債権届出のための期間を設定するため、この期間内に債権者は自己の債権を正式に届け出る必要があります。
届け出られた債権は、破産管財人や裁判所によって検証され、その合法性や優先順位が確認されます。
その後は、債権者集会が開催されることもあり、ここで債権者は債務者の財産状況や手続きの進行についての情報を得ることができます。
続いて、破産管財人は債務者の資産を換価し、得られた資金から債権者への配当を行います。
ただし、すべての債権者が完全に満たされるとは限らず、配当は利用可能な資産の範囲内で行われます。
債権の種類や優先順位に基づいて配当が行われることが法的に求められています。
破産手続きの最終段階で、手続きが終結すると、未払いの債権については通常これ以上の法的措置は取られません。
個人破産の場合、債務者は免責決定を受けることがあり、これによって残りの債務が免除されることがありますが、企業破産の場合は、その後の清算や事業の再編に影響を及ぼす可能性があります。
このプロセスは、債権者にとっては資産回収の機会を提供し、債務者には法的な保護と手続きの透明性を提供します。

・債権届出に対する認否を争う方法

破産手続きにおいて、債権者が届け出た債権については、破産管財人がその妥当性を検証し、認めるか否かを決定します。
もし届出た債権の一部または全部が破産管財人によって認められなかった場合、その部分に関しては配当を受ける権利が失われます。
この認否決定に対して異議がある場合、債権者は何も行動しなければ、破産管財人の決定が最終的なものとして確定してしまいます。
そのため、債権者は破産管財人の認否決定に反論し、必要に応じてその決定を争う手続きを取る必要があります。
破産管財人による債権の認否について異議がある場合、最初のステップは破産管財人と交渉を行うことになります。
これは、認否の決定を再考してもらうためであり、もし破産管財人との交渉で債権の認否が変更されなかった場合、次の手段として裁判所に対して「査定の申立て」を行うことが可能です。
この申立ては、債権の金額やその他の条件を法的に確定させるためのもので、一般的には一般調査期間の終了日から1ヶ月以内に行う必要があります。
裁判所はこの査定申立てを受けて、提出された内容の正当性を判断し、それに基づいて査定決定を行います。
査定決定に対して不服がある場合、債権者は異議申し立てを行うことができます。
この異議申し立ての結果、裁判所が査定決定を支持する判決を下せば、その決定に従って債権が確定されます。
一方、裁判所が査定決定を変更する判決を下した場合、その判決に基づいて債権の認否が変更されます。
もし債権者が他の債権者の債権に関する認否結果に異議がある場合、裁判所に向けて書面による異議申し立てをすることが可能です。
この異議申し立ては、債権が届け出られてから行われる一般調査期間の間にのみ行うことができます。


破産手続開始後の債権回収の方法

破産手続開始後の債権回収は、いくつかの段階を経て行われます。
まず、裁判所が破産手続きを開始すると、債権者に対してこの事実が通知されます。
通知を受けた債権者は、指定された期間内に自己の債権を裁判所に届け出る必要があります。
この届出は、債権の存在と金額を正式に裁判所に認識させるための重要な手続きとなっております。
届出後、破産管財人は債務者の資産を調査し、可能な限り現金化し、この過程で得られた資金は、債権者への配当に使用されます。
配当は債権の優先順位に基づいて行われ、すべての債権者が同等に扱われるわけではないことを留意しておきましょう。
最終的に、配当が完了すると、債権者は自己の債権に対する回収を行います。
ただし、債務者の資産が不足している場合、債権者が全額を回収することはできないこともあります。
破産手続きが終了すると、未回収の債権については通常、これ以上の追求は行われなくなります。

・相殺の方法とその例外

破産手続開始後の債権回収における相殺は、特定の条件下で、債権者が自己の債権を債務者に対する債務と相殺する手段です。
これは、債権者が債務者から直接金銭を受け取る代わりに、自己が債務者に対して持つ債務を減額することで、実質的に債権を回収する方法です。

相殺の基本的な条件は以下の通りです。

両者間の債権と債務

債権者が債務者に対して債権を持ち、同時に債務者から債権者に対する債務が存在する場合に適用されます。

同一性質の債権と債務

相殺する債権と債務は同じ種類である必要があります。

例えば、金銭の債権に対しては金銭の債務と相殺できます。

期限の到来

相殺する債権と債務は、双方ともに支払い期限が到来している必要があります。

しかし、相殺には例外も存在します。
破産手続開始後に新たに生じた債権や、特定の条件を満たさない債権は相殺できない場合があります。
また、法的規定により相殺が禁止されている特殊なケースも存在します。
相殺は、債権者にとって比較的迅速な債権回収の方法を提供する一方で、破産手続きの法的枠組み内で適切に行う必要があります。
そのため、具体的な相殺の可否や手続きについては、法的な専門知識が求められ、法的アドバイスを受けることが重要です。

・担保権とその活用法

破産手続き開始後の担保権に関しては、その取り扱いが破産法によって特別に規定されています。
担保付きの債権者は、破産手続きの中でも一定の優先権を持ちますが、その行使には特定のルールが適用されます。
まず、破産手続きが開始されても、担保権はその効力を維持します。
これは、担保付きの債権者が自己の債権を優先的に回収できるということです。
もし売却から得られた金額が債権額を超える場合、その超過分は破産財団に加えられ、他の無担保債権者への配当に使用されます。
一方で、担保となるモノの価値が担保付きの債権額に満たない場合、不足分は無担保債権として扱われ、他の無担保債権者と同等の扱いを受けます。
特定の状況下では、担保付き債権者が担保権を放棄し、債権を完全に無担保債権として扱うこともあります。
つまり、破産手続きにおける担保権の取り扱いは、担保付き債権者にとっては有利な点が多いものの、破産手続き全体の枠組みの中でその権利が行使されることになります。

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まとめ

取引先が破産手続きに入った場合の債権はどのように扱われていくかについて紹介いたしましたが、破産手続きに入った時点で、その企業に対して売掛金などの債権を持っている場合は全額の回収をすることは困難となります。
取引先の選定には注意を払い、条件や契約だけをみて決断することのないように、経営状況なども鑑みて決めるようにしましょう。

執筆者 B.M

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