2026/08/13
採用

「選ばれる側」から、いったん降りる

「選ばれる側」から、いったん降りる

最近、海外の求人まわりを見ていて、へえと思ったことがある。「リバース・リクルーティング」という言葉が、2026年にはすっかり当たり前になっていた。

ざっくり言うと、求職者と企業の立場が入れ替わる話。これまでは、人が会社に応募して、会社が選ぶ。ごく普通の構図だった。それが、会社の側から「あなたに来てほしい」と声をかけにいく。人のほうは、待っていればいい。

面白いのは、この「待っていればいい」状態を、求職者がお金を払ってでも手に入れようとしているところ。専門のエージェントに費用を払い、自分の経歴を整理してもらい、企業からのオファーを引き出す。応募という行為そのものを、外注してしまう。

なぜ、そこまでするのか。たぶん「選ばれる側」でい続けるのが、しんどいから。

何十社に応募して、大半は返事すら来ない。あの徒労感は、経験した人ならわかると思う。読まれているのかどうかも分からないまま、また次を出す。お金を払ってでも、あの列から降りたい。選ぶ側に回りたい。そういう気持ちなんじゃないか。

これ、私たちがタレントバンクでやろうとしていることと、根っこは同じだったりする。

働く人が、企業に直接「私はいくらで働きます」と値段をつけて出す。企業は、それを見て声をかける。選ばれるのを待つのではなく、条件を自分で決めて、そのうえで選んでもらう。順番が、ひっくり返る。

ひとつだけ違うのは、お金の向き。海外のリバース・リクルーティングでは、求職者がお金を払って逆転を「買って」いる。私たちがやりたいのは、その逆転を無料で、しかも自分の側から起こせるようにすること。

何年か前、日本で働く外国の人たちから「どうして日本は月給なの?」とよく聞かれた。当たり前だと思っていたことが、外から見ると当たり前じゃない。あのときの感覚に、今回のニュースはよく似ている。

「月給制度をぶっ壊せ」なんて言っていた頃から、考えていることはあまり変わっていない。働く人は、労働という価値を毎日会社に渡している。だったら本来、その値段も、受け取り方も、自分で決めていいはず。時間の選択権、そして価格の選択権。それを少しずつ、働く人の側に戻していきたいと思っている。

リバース・リクルーティングが海外で広がっているのは、みんな薄々気づいているからじゃないか。「選ばれる側」に固定されているのは、そんなに自然なことでもない、と。

もっとも、お金を払わないと逆転できない、という今の形は、まだ過渡期。その逆転が、当たり前に、しかもタダで手に入る。そんな風にしていけたら、と思う。

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