2026/08/28
企業と人をつなぐ

採用は、募集の前から始まっている

採用は、募集の前から始まっている

いい人ほど、求人には応募しない

採用というと、求人を出して、応募を待って、来た人から選ぶ。ずっとこの順番でやってきた。でも、ひとつ困ったことがある。いい人ほど、求人サイトには応募してこないのだ。

データもそれを裏づけている。世界の働き手の7割以上は「受け身の層」だと言われる。転職活動はしていないけれど、いい話があれば聞いてみたい、という人たちだ。ある調査では、こうした人の73%が「求人サイトには応募しないが、企業のタレントコミュニティになら入る」と答えている。応募はしない。でも、つながることはいとわない。募集をかけて待っているだけでは、この大きな層に、そもそも出会えない。

「入口」が、いちばん弱い

企業のほうも、うすうす気づいている。68%の会社が「採用の入口(母集団づくり)が、いちばんの弱点だ」と答えている。求人サイト頼みで、何千社の中に埋もれ、受け身の人には届かない。いちばん欲しい人に、いちばん届いていない。

一方で、応募前からつながりを育てている会社は、はっきり得をしている。活発なタレントコミュニティを持つ企業は、採用にかかる時間が最大で半分になる。コミュニティのメンバーは、いきなり連絡した相手にくらべて3倍も返事をくれる。あらかじめプールを温めておくと、採用の平均日数が44日から21日を切るところまで縮む、という数字もある。

面白いのは、これだけ効くのに、実際にコミュニティをちゃんと育てている企業は26%しかない、というところだ。やっている会社が少ないぶん、やれば効く。まだ空いている場所だ。

応募の「点」から、ファンの「線」へ

だから、発想を変えたい。採用というタイミングは、言ってみれば「点と点のつながり」だ。募集した瞬間に、たまたま出会えた人と、その一点で結ばれる。でも、ファンという形になると、これが「線」になる。点が線に変わると、そこに時間軸が生まれる。

人は、1年前と1年後で、けっこう変わる。できることも、考えていることも、伸びている。ゆるくつながったままでいれば、その変化を、ずっと見ていける。点では分からなかった「その人が、どう伸びてきたか」が、線でなら見えてくる。

見えてくるのは、「成長曲線」

応募前からファンとしてつながり、その歩みをタレントバンクに残していく。すると、企業にもワーカー本人にも、「成長曲線」が見えるようになる。

これは、両方にとって価値がある。ワーカーは、自分がどれだけ成長してきたかを、形にして示せる。企業は、いまのスキルだけでなく、その人の伸び方まで見える。成長意欲があるか。いまは少し足りなくても、将来きちんとスキルを身につけて、十分な人材になりそうか。採用は「いま何ができるか」の一発勝負になりがちだけど、線で見れば、「これから、どうなりそうか」まで含めて向き合える。

私たちがやっていきたいのは、その「線」

私たちはずっと、タレントバンクは3つの層でできている、と言ってきた。いま働いている人、かつて働いていた人、そして——これから働きたいと思ってくれる人。この3つ目、「未来」の層こそ、ファン層だ。

そして、私たちがやっていきたいのは、その未来層を「線」でつないでおくことだ。応募という一発勝負ではなく、時間をかけて関係を育て、人の成長を、企業にもワーカーにも見えるようにする。気が向いたときに、向こうから手が挙がる。そのとき企業は、「いまのスキル」だけでなく「ここまで伸びてきた線」ごと、その人を迎えられる。

点ではなく、線で見る

採用を、募集のときだけの「点」で考えると、いつも慌ただしい。でも、応募の前からファンでいてもらい、その成長を線で見てきていれば、必要になったとき、そこに温かくて、伸びしろまで見えている母集団がある。

いい人ほど、求人には応募しない。だったら、応募される前からファンでいてもらって、その人の線を、一緒に見ていけばいい。私たちがつくりたいのは、点ではなく線で、人の成長ごとつながれる場所だ。

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