みなさんはBPSPという言葉を耳にしたことがあるでしょうか。BPSPは企業間の決済をクレジットカードで払えるといった、VISAが提唱する新しい仕組みです。
今回はそんなBPSPについて、業界の課題に触れながら解説していきます。
BPSPのひとつである、Payment Technologyの「オクラス」は利用をぜひ検討してみてください。
目次
BPSPとは?
BPSPは「Business Payment Solution Provider(直訳:ビジネス支払いソリューションプロバイダー)」の略です。
2017年に国際ブランド「Visa」が提唱・制定した決済スキームのことで、カード決済を受け入れていない企業との取引にカード決済を可能とする新しいソリューションになっています。
日本においても経済産業省が2025年までにキャッシュレス決済比率を4割にするという目標を掲げているように、キャッシュレス化を推進する動きが強まってきています。
BPSPはキャッシュレス決済を促進するといった点で注目を集めてきています。
BPSPという仕組み
従来、企業間の取引でクレジットカード決済を行う場合には、取引する双方がクレジットカード加盟店である必要がありました。
特にクレジットカード決済を行いたいが「取引先がクレジットカードに対応していない」といったケースはよく見受けられました。
BPSPでは、取引先との間にBPSP事業者(疑似代理店)を設置することで、BPSP事業者がカード代金の受領を行い、取引先に対して入金を行う仕組みになっています。
引用:Business Payments Solution Provider(BPSP)とは? – Visa
BPSPの特徴
BPSPを活用することで、カード決済を受け入れていない企業に対してもカード決済を行えるようになります。これが何よりの特徴でしょう。
そして企業間の決済をクレジットカードで行うことで、資金繰りの改善や支払い状況のデータ管理、各種照会作業の簡易化につながります。
企業間取引における決済方法について
企業間取引における決済方法は大きく3つに分けることができます。
〇銀行振込
取引代金をまとめ、指定日に銀行振込で支払う方式です。企業間取引でよく使われる「請求書払い」の決済方法で使用されます。
メリット: 一括決済で手間節減、取引のスピードアップ。
デメリット: 未回収リスク、催促の手間、消込作業の複雑さ。
〇口座振替
顧客指定の銀行口座から自動で引き落とす方式です。公共料金やサブスクなどで使われますが、企業間でも利用されます。
売り手メリット: 集金手間軽減、低手数料、未回収リスク低減、資金繰りの安定。
買い手メリット: 支払いの手間削減、手数料不要、セキュリティ面の安心。
〇クレジットカード決済(前述で説明したBPSPのサービスのことを指しています)
支払いをクレジットカードを行う方式です。BtoCではよく使われますが、企業間ではまだ一般的ではありません。
メリット: 両当事者にとっての決済の手軽さ。
デメリット: 取引規模の制限、関係性の構築の難しさ。
基本となる掛け払いとは
掛け払いとは、商品やサービスを受け取った際に即時の支払いをせず、あらかじめ定められた期日までに後払いする決済方法を指します。
主に企業間の取引において多用される手法で、資金繰りを柔軟に行うための助けとなります。
掛け払いの最大のメリットは、資金の現金化を待たずに商品やサービスを利用できる点です。
これにより、特に中小企業のような資金繰りに課題を持つ事業者は、一時的な資金不足を緩和することができます。
しかし、掛け払いにはリスクも伴います。買い手が指定の期日に支払いを行わない場合、売り手は未回収のリスクを背負うことになります。
そのため、信用管理の徹底が求められます。
掛け払いは適切に管理された場合、取引をスムーズに進行させる効果的な手段となる一方、信用の確認や未回収リスクへの対策が不可欠です。
BPSPを活用した「請求書カード払い」の導入
Payment Technologyにおいても受け取った請求書をクレジットカード払いできるサービス「オクラス」があります。
中小企業やスタートアップ企業において、資金繰りやキャッシュフローの課題はつきものです。
これらの課題は「オクラス」のような請求書カード払いサービスを使えば解消することができます。
「オクラス」は受領した請求書とお持ちの法人カードがあれば、利用することができ、中小企業やスタートアップの強い味方になっています。
具体的なメリットを紹介していきます。
受領側のメリット
請求書を受領した側のメリットを見ていきましょう。
受領側、つまり支払い側はカード加盟店になっていない場合でもクレジットカード決済をすることができます。
クレジットカード決済を行うと以下のようなメリットがあります。
〇資金繰り・キャッシュフローの改善
クレジットカード決済を行った場合、実際のキャッシュアウトを無利息で遅らせることができます。(最大で50日程)
〇データ管理
クレジットカードの取引明細は電子的に提供されることが多いため、会計ソフトでの連携が可能です。
データ管理が容易になり、経理業務を効率化することができます。
発行側のメリット
請求書を発行する側のメリットを見てみましょう。
発行側の大きなメリットは、入金が即座に行われることでしょう。
クレジットカードで決済が行われると入金のサイクルを早めることができます。
また他にも以下のようなメリットがあります。
〇未払いリスクの軽減
クレジットカード会社が取引を保証する形となるため、売り手は顧客のデフォルト(未払い)リスクを大幅に軽減することができます。
〇手間の削減
従来の請求・徴収のプロセス(例: 銀行振込や小切手)に比べて、クレジットカード決済は自動化されやすく、管理や手間が少なくなります。
資金繰り改善するための資金調達手段
資金繰りの改善方法として「請求書カード払い」を紹介させていただきましたが、他にも資金調達の方法はあります。
ここでは、大きく3つの資金調達方法について説明します。
①デットファイナンス(負債を増やす)
銀行や信用金庫といった金融機関からお金を借りる方法です。
融資やビジネスローンのため、利息が発生したり、返済する必要があることが特徴です。
②エクイティファイナンス(資本を増やす)
公募を行ったり、ベンチャーキャピタル(VC)などに投資してもらう方法です。
企業において新株を発行して、株式資本であったり自己資本を増やすことを言います。お金の返済がないことが特徴です。
③アセットファイナンス(資産を現金化する)
自身の資産を売却、現金化することで資金を調達する方法です。
不動産といった固定資産の売却や、売掛債権を買い取ってもらうファクタリングなどが代表的な例です。
BPSPの今後の課題
BPSP業界における課題は、その知名度です。
アメリカン・エキスプレス社の「企業間決済白書 2022」の調査によると、クレジットカード決済を受け入れている企業は6.2%という結果が出ています。
このデータはあくまでクレジットカード決済を受けて入れている企業ということであり、実際の取引でクレジットカード決済を用いてる企業は更に少ないでしょう。
日本では、まだまだクレジットカードを代表としたキャッシュレス決済が浸透していないのが現状です。
この課題に対する明確な解決策はおそらくないでしょう。
最近では、BPSPを利用した請求書の後払いサービスなども増えてきています。
Payment Technologyの「オクラス」もそのうちの1つです。
これらサービスは企業間の決済をクレジットカードで行うことにより、実際のキャッシュアウトを遅らせ、資金繰りやキャッシュフローを改善する効果があります。
より良いサービスを作り、多くの方に利用していってもらうことが一番の解決策なのかもしれません。
まとめ
カード決済を受け入れていない企業との取引において、カード決済を可能とするBPSPについてご理解いただけたでしょうか。
BPSPは新しいソリューションとして、徐々に注目を集めてきています。
Payment Technologyにおいても「オクラス」というBPSPを活用した、請求書をクレジットカードで支払えるサービスを提供しています。
オクラスは資金繰りやキャッシュフローの改善に役立ち、多くの中小企業やスタートアップ企業の方にご利用いただいています。
是非一度ご利用を検討してみてください。
執筆者 S.K