2023/11/21
給与

【給与デジタル払い解禁!】中小企業が押さえるべき給与デジタル払いのメリット・リスク

近年、給与をデジタルマネーで受け取れるようにする流れが進んでおりますが、実際に受け取れるようになったら何が変わってくるのでしょうか。
新たな試みのため周りの動きなどを見たうえで検討したいと考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、世の中に存在する便利な機能やシステムはアクシデントや事件を機に広く普及した面もあります。
例えば、今では利用が当たり前となった連絡手段アプリのLINEです。
これは東日本大震災の時にお互いの生存確認ができなかったことから、相手がメッセージを見れば「既読」として相手に伝わる機能として開発されました。
また、今では当たり前になっている給与の銀行振込ですが、これもまた、50年以上前に発生した現金輸送車の襲われた3億円事件が原因となり、現金手渡しの文化に終わりが訪れました。
このように大きな変化があるときには、きっかけとなる出来事もあり、今回の給与のデジタル払いで考えると、
新型コロナウイルスにより人やモノに直接触ることを控えるようになったことがキャッシュレス決済を加速させ、給与デジタル払いにまでつながっている部分もあるのではないでしょうか。
そこで今回は少しでも給与デジタル払いが身近になれるようにメリットなどの基本的なことをご紹介していきます。

エニペイとは?】
給与のデジタルマネー払いが可能

1.企業が銀行の口座を介さず、スマートフォンの決済アプリや電子マネーを利用して振り込むことができる。

2.従来の口座以外に給与を振分け可能
デジタルマネーを含む指定した受け取り方法で、証券口座や給与を最大5口座に振り分けることのできる

3.ビジネスモデルの特許を取得済み
従業員の給与債権の登録ができ、一定の日付・方法で給与の全部又は一部を繰り返し支払い、その結果を保持しておくことができるシステム【特許第6928708号】

 

1.キャッシュレス社会の浸透とともに、「デジタル給与支払い」への関心が高まる

給与デジタル払いとは、銀行を使わずに、スマホなどを用いて電子上でお金を受け取るような新しい給料のもらい方です。
これまでは給料は銀行の口座に入るのが当たり前でしたが、この方法なら銀行口座がなくても給料の受取ができます。
キャッシュレス決済が世の中に浸透していくなかでスマートフォンを用いた決済も増えたことから、給料もデジタルで受けとることができればという流れが生まれました。
ここで活躍するのが、資金移動業者と呼ばれる事業であり、資金移動業者とは銀行以外が為替取引を行うことを指しており、
資金移動業を営むには事前に内閣総理大臣の登録を受けなければならない決まりがあることから、一定の信頼はおける事業となっております。
この資金移動業者を利用することで企業が従業員へ給与を支払う際にデジタル払いにすることを可能にします。
またデジタル給与支払いをめぐる現状としては、2023年4月にデジタル給与払いは解禁されているものの、
それを行う資金移動業者の審査が厚生労働省により完了していないため、審査が完了次第、実際にデジタルマネーでの給与の支払いが可能となります。

2.約4割が検討する「給与デジタル払い」

公正取引委員会の行った調査によると、資金移動業者を利用したデジタル給与の受取が可能となった際に利用を検討している人の数は、
調査を行った2020年時点で4割に達しており、現在ではより多くの人が利用を考えている可能性もあります。
また、デジタル給与の受取に関して、利用を希望した場合は、毎月受け取っている給与の全額をデジタルで受け取ることになると思われるかたもいるかもしれませんが、
今まで通り銀行振込による受取とデジタルによる受取の併用ができるので、気軽に利用してみようという気持ちになるひともいるのいるのではないでしょうか。
日本の現状を各国と比較すると、デジタル給与の受取に関しては後れを取っているのでいえるので、給与払いのデジタル化が進んでいるアメリカの事例を紹介したいと思います。

アメリカでは、給料をもらう方法として「ペイロールカード」というシステムが普及しており、
これは、ビザやマスターカードといった国際ブランドのプリペイドカードに給料を入れてもらう方式で、すでに何百万人もの人が使っています。
このカードを発行しているのが、バンク・オブ・アメリカといった大手銀行であり、銀行口座に直接お金を入れる代わりに、
このカードに給料がチャージされて、お店で使ったりATMで現金を引き出すことができるシステムとなっております。
日本とアメリカでは環境などの違いから、求められるサービスが異なる部分もあると思いますが、
これからの中小企業が前進していくうえでさまざまな人種と関わる機会が増えることを考えると参考にすべきポイントも多いのではないでしょうか。

3.給与デジタル払いのメリットとデメリット

これまで給与デジタル払いとはどのようなもので、現状ではどれほど受け入れられているかなどを見てきましたが、
実際に利用が始まった際には、企業側と従業員側でどのようなメリット・デメリットが生じるのでしょうか。
どんな便利なサービスにもメリットがあればデメリットもありますが、あらかじめ良い点、悪い点の両面を把握しておくことで、
効率的で効果的な利用スタイルを確立していけるのではないでしょうか。

●メリット

・企業側は振込手数料の削減につながる
振込手数料を削減することは、給与支払いにおいて企業が大きく節約できる一つの方法です。
例えば、PayPayなどの現代的な決済サービスプロバイダーを使用することにより、従来の銀行による振込に比べて、お金の送付と受取に関連するコストを大幅に下げることができます。
これは、特に日給制で労働者を雇用しており、多数のトランザクションを必要とする企業にとって顕著なメリットをもたらします。
毎日のように多くのパートタイムスタッフに給料を支払う必要がある企業では、各従業員への振込みにかかる手数料が積み重なっていきますが、
デジタル決済サービスを利用すれば、これらの手数料を一律で大幅に削減でき、場合によっては無料にすることも可能です。
さらに、デジタル決済は即時に行われるため、従業員は給与を速やかに受け取ることができ、企業は給与支払いのプロセスをより迅速に、そして効率的に管理することができます。
加えて、デジタル決済の導入は従業員にとってもメリットがあり、給与を即座に自分のアカウントで確認できるため、金融管理がより容易になります。
また、企業の給与支払いプロセスのデジタル化は、現代のテクノロジーに適応しているというポジティブなイメージを市場に投影することができ、結果として企業のブランド価値の向上にも寄与します。
このように、デジタル給与支払いは、経済的な利益だけでなく、企業運営の効率化とイメージ強化の両方において、企業にとって有益な選択となり得るのです。

・企業側の人材採用枠の拡大につながる
デジタル給与支払いシステムの採用は、企業の人材採用の枠を広げる可能性があります。
特に、銀行口座を持たない外国人労働者にとって、給与を直接デジタル形式で受け取ることができるため、彼らの雇用機会を大幅に拡大させることができます。
このシステムを積極的に採用し、その利点を広く宣伝することで、テクノロジーに積極的な企業、多様な労働力を受け入れる企業として印象を与えることで、
従来は採用の範囲外だった人材を引きつけ、確保することにつながります。
さらに、デジタル給与支払いは、一回ごとの支払いやフリーランスとのスムーズな取引に寄与します。
銀行口座がない人々にも安全な給与の受け取りを提供しつつ、迅速な資金の移動を可能にすることで、フリーランスや契約ベースで働く人々との仕事のやりとりがより簡単になります。
これにより、企業は短期間のプロジェクトや一時的なニーズに対して、柔軟に人材を確保し、動的な労働市場に適応する能力を高めることができます。
デジタル給与支払いを取り入れることで、企業は新しい労働市場のニーズに応えることができるだけでなく、より多様な働き方をサポートし、
ワークライフバランスを重視する現代の労働者にアピールすることができます。
これらのメリットは、企業が市場で競争力を持ち、多様な才能を引き寄せるための鍵となり得ます。

・従業員は現金チャージの省略ができる
決済アプリを利用することによる現金チャージの省略は、現代の決済方法における一大革命です。
これにより、銀行口座から資金を移動させる際にかかる時間や、ATMで現金を引き出すために支払う手数料の削減が可能となります。
これは特に、すでにデジタルマネーを日常的に使用しており、スマートフォンを通じてのお得なポイントシステムを駆使している人々にとっては、さらなるメリットとして映ります。
具体的には、スマートフォンにインストールされた決済アプリにより、銀行口座の残高を気にすることなく、店舗やオンラインショッピングでの支払いが直接行えます。
これにより、ユーザーはショッピングのたびに銀行口座を確認し、必要な金額を計算してチャージするという煩雑なプロセスを省くことができるのです。
さらに、多くの決済アプリはリアルタイムでの残高更新を行い、支出の管理を効率的に行えるようサポートしています。
また、このシステムは電子マネーを使用する際のポイント還元や割引といったプロモーションにおいても有利であり、
消費者はこれらのプロモーションを活用することで、実質的な節約を実現し、より賢い買い物をすることができるようになります。
結果として、電子マネーの利用を促進し、キャッシュレス社会への移行を加速することに寄与することになると考えられます。

●デメリット

・企業が行う振込の作業の増加
従業員はデジタル支払いか従来の方法かを選ぶ自由があり、全ての従業員がデジタル化への切り替えを望むわけではないため、給与の配布方法は個々の選択によって異なることになります。
これにより、給与管理部門の業務は複雑化し、手間が増える可能性があります。
例えば、デジタル給与を希望する従業員には別のプロセスを、従来の銀行振込を好む従業員にはまた別のプロセスを用意する必要が出てくるため、2つの異なるシステムを維持管理する必要が生じます。
さらに複雑さを増すのは、給与の一部をデジタルで、残りを銀行振込で受け取りたいという従業員の存在です。
このようなケースでは、一人の従業員に対して2回の振込みを行う必要があり、これは追加の管理作業を意味しており、
企業は、これらの要求に応えるために、給与システムの柔軟性を高め、効率的な管理ソフトウェアを導入することを検討する必要があります。
そこでPayment Technologyエニペイのように、利用することで企業の支払い業務を増やすことなく従業員へ給与の振込を可能にするサービスもあります。

・企業は従業員がデジタル給与受取を可能にするためのシステム連携を考えなければならない
業務負担を軽減し、給与支払いの効率化を実現するためには、給与管理システムと資金移動業者との間で自動的にデータを同期するシステムの構築が必要となります。
市場には多くの給与管理システム提供者が存在し、彼らは資金移動業者と協力して、給与のデジタル支払いを容易にするための自動化されたソリューションを提供しています。
しかし、これらの便利なソリューションを活用するためには、既存の給与システムのアップグレードが必要になる場合もありますし、場合によっては全く新しいシステムへの投資が必要になることもあります。
また、企業が給与のデジタル支払いシステムを導入するにあたっては、その費用対効果を慎重に評価する必要があります。
現在使用している給与システムが、将来的にデジタル支払いに対応できるかどうか、またそのためにどの程度の投資が必要になるのかを見極めることが不可欠です。
システム連携には初期投資だけでなく、維持管理費用も伴うため、追加の時間とコストがかかる場合もあります。

・従業員が日常的に利用する資金移動業者が使用できない場合がある
従業員が好みの資金移動業者を通じてデジタル給与を受け取りたいと希望する場合でも、その希望が必ずしも叶うとは限りません。
従業員の選んだ資金移動業者が厚生労働省の審査に通らず、認められない場合があるからです。
企業は認可された業者の中から選択することが求められます。
これは言い換えれば、従業員が日頃から利用している電子マネーが、給与の受け取りに使えるとは限らないということです。
企業は、提供可能な支払い方法の中から、適法かつ実行可能なオプションを提供する責任があります。
そのため、従業員は自分が普段使っている支払いサービスではなく、企業が用意した方法で給与を受け取ることになるかもしれません。
さらにこの状況は、従業員にとっては選択の制約となり得ますが、一方で企業にとっては、認可された資金移動業者との関係を強化し、支払いプロセスを統一化する機会ともなります。
それに、企業は認可された資金移動業者と連携することで、従業員に対する給与の支払いを法規制に遵守する形で安全に行うことができます。

PaymentTechnologyの給与DXエニペイについて
エニペイとは、毎月指定日に、デジタルマネーを含む指定した受け取り方法で給与を最大5口座に振り分けることのできるサービスです。
「企業と、従業員と、従業員の給与債権の登録ができて、一定の日付・方法で給与(又は賃金)の全部又は一部を繰り返し支払い、
その結果を保持しておくことができるシステム」として当社がビジネスモデルの特許を取得しております。【特許第6928708号】

まとめ

給与のデジタル払いは、電子マネーを通じて従業員の口座へ迅速に給料を送る方法であり、
従業員はスマートフォンやパソコンで簡単に給料を受け取れるようになり、企業にとっても手数料の削減などのメリットがあります。
メリットが多くデメリットも克服できるものであるケースもあるため、企業としても導入しやすいものとなっているのではないでしょうか。

執筆者 B.M

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