この記事では、債権譲渡担保の基本的な概念やそのメカニズム、設定の具体例、および取引先が破産や支払い遅延に陥った際の対処法を詳しく説明いたします。
さらに、債権譲渡担保設定契約の作成時に注意すべき点、譲渡禁止特約の確認、対抗要件の取得方法など、担保設定に関わる重要な手続きとその法的な影響についても解説します。
この記事を通じて、企業や個人は債権譲渡担保の利点とリスク管理方法を理解し、自身の財務戦略を適切に計画するための知識を得ていきましょう。
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目次
債権譲渡担保とは?
債権譲渡担保とは、債務者が負債を返済できなくなった際に、貸し手が保証として取り置いた債権を利用する権利のことを指します。
この制度は、特に取引先が経済的な困難に直面している場合に有効です。
例えば、取引先が倒産したり、支払いを遅らせたりするリスクがある際、債権譲渡担保は貸し手にとって重要な安全策となります。
この担保は、貸し手が取引先の経済的な不安定さを補うためのひとつの手段として機能し、債権回収の際のリスクを軽減することができます。
債権譲渡担保設定の具体例
それでは、債権譲渡担保を設定した際、どのようなケースがあるのでしょうか。
実際の実例をみていきましょう。
1.メーカーが販売先の売買代金債権を債権譲渡担保にとる事例
「メーカーが販売先の売買代金債権を債権譲渡担保にとる実例」をあげてみます。
例えば、あるメーカーが商品を販売する際、支払い保証として販売先の売買代金債権を債権譲渡担保にします。
これは、もし販売先が支払いを行わない場合、メーカーがその売買代金債権を直接回収できるようにするための措置です。
この方法により、メーカーは販売代金の回収リスクを軽減できます。
これが、ひとつの債権譲渡担保を設定した例となります。
文章よりも少しはイメージを持って頂けたかと思います。
2.下請業者が元請業者の工事代金債権を債権譲渡担保にとる事例
次は、「下請業者が元請業者の工事代金債権を債権譲渡担保にとる事例」をあげてみます。
ここでいう下請業者というのは、主に建設業界や製造業界などでみられる、元請業者(主契約者)から特定の仕事や製造工程を委託されて作業を行う業者のことを指します。
元請業者が全体のプロジェクトを管理し、その一部を下請業者に外注することで、専門的な技術や細かな作業を効率的に行わせることができます。
この関係は、元請業者が顧客と直接契約を結び、下請業者は元請業者との間でのみ契約を結ぶという形で成立します。
別の事例として、下請業者が元請業者への支払い保証として、元請業者が持つ他の取引先への工事代金債権を債権譲渡担保にすることがあります。
これは、元請業者が支払いを遅らせた際に、下請業者が直接その債権を回収するための安全策です。
このように債権譲渡担保を利用することで、下請業者は支払い遅延のリスクを管理し、安定した資金繰りを保つことが可能になります。
債権譲渡担保をとるメリット
前述までは、債権譲渡担保の実際の例をそれぞれみてみました。
ここからは、メリットをそれぞれみていきましょう。
支払い遅延時の直接回収
もし取引先が約束した支払いを遅らせた場合、債権譲渡担保を利用して、その取引先が他に持つ債権を直接回収することが可能です。
この手段により、自社の財務上のリスクを減らすことができます。
取引先が破産したときも担保を取っていた債権から支払を受けられる
万一、取引先が破産してしまった場合でも、事前に設定した債権譲渡担保があれば、その債権をもとに支払いを受けることが可能です。
これにより、自社が負う財務的な損失を最小限に抑えることができ、経済的な安全を確保することができます。
債権譲渡担保の設定契約の重要な注意点
それでは、メリットを理解したうえで実際に債権譲渡担保を設定した際の、契約上の重要な注意点をみていきましょう。
1.担保にとる債権をできる限り特定することが必須
債権譲渡担保を設定する際、最も重要なのは担保となる債権を明確に特定することです。
具体的な債権を特定することで、将来的に起きてしまうことを事前に予防し、担保権の行使をより確実にします。
担保権とは、主に金銭債務の返済を保証するために設定される権利のことです。
債務者が借入れなどの債務を返済できない場合に、担保となっている財産(不動産など)を用いて債権者(貸し手)が損失を補填する権利を持つというものです。
例えば、特定の取引に基づく売掛金や特定の契約における受取手形など、担保にする債権を明示することが不可欠です。
2.譲渡禁止特約にも注意が必要
債権譲渡担保を設定する際は、譲渡禁止特約の存在を念頭に置く必要があります。
この特約がある場合、債権の譲渡は制限されるため、特約に違反しないよう注意を払うことが重要です。
違反すると法的な問題に発展する恐れがあるため、契約書の内容を入念にチェックし、必要に応じて専門家のアドバイスを求めることが賢明です。
3.対抗要件の取得についても事前に考えておくことが必要
債権譲渡担保の有効性を確実にするためには、対抗要件の取得が必要です。
これは、譲渡した債権が第三者にも認められるようにするための法的な手続きを指します。
たとえば、債権譲渡を公示するための内容証明郵便の送付や債権譲渡登記などがこれにあたります。
この手続きを適切に行うことで、債権譲渡の権利を保護し、第三者との間での権利関係を明確にすることができます。
債権譲渡担保に関する一般的な手続きの流れ
債権譲渡担保の設定に関する一般的な手続きの流れをみていきましょう。
1.どの債権を担保に取るか決める
まず、どの債権を担保にするかを決めます。
この段階では、担保にする債権の種類(例えば売掛金やローンの返済請求権など)、その価値、および関連するリスクを評価します。
この評価には、債権の安定性、回収可能性、および債務者の信用状態などが考慮されます。
2.債権譲渡担保設定契約書を作成する
債権譲渡担保を設定するための契約書を作成します。
この契約書には、担保となる債権の具体的な内容、担保設定の条件、債務者が債務不履行に陥った場合の手続き、および権利行使に関する条項などを明確に記載します。
契約書は法的拘束力を持ち、双方の合意に基づくものです。
3.内容証明郵便を送付、または債権譲渡登記を行う
債権譲渡担保の効力を第三者にも対抗するため、内容証明郵便を送付するか、債権譲渡の登記を行います。
これは、担保設定の事実を公にし、他の債権者にもその存在を知らせるための手続きです。
内容証明郵便は、契約の内容や担保設定の事実を正式に記録し、送付する方法です。
債権譲渡登記は、特定の債権に関する担保設定を公的な登記簿に記録することで、より強い法的保護を得る手段です。
4.取引先の支払いが遅れたら担保を実行
最後に、取引先が約束した支払いを遅延した場合、担保として設定された債権を実行します。
これは、設定された債権を直接回収し、自社の損失を補填するための措置です。
たとえば、取引先が財務上の問題に直面して支払いができない場合、担保として設定された債権から直接回収を行うことで、損失を最小限に抑えることができます。
このプロセスを適切に行うことで、企業は取引に関連するリスクを管理し、財務的な安定性を維持することができます。
債権譲渡担保は、特に取引先の信用状態が不安定な場合や、大きな金額が絡む取引において、重要なリスク管理ツールとなり得ます。
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まとめ
本記事では、債権譲渡担保の基本概念、設定の具体例、そのメリット、および重要な注意点を詳しく解説しました。
債権譲渡担保は、債権を担保として利用する方法であり、取引先の支払遅延や破産時にも安全を確保する効果的な手段です。
契約の作成、特定の債権の選定、譲渡禁止特約への注意、および対抗要件の取得など、設定契約における重要なポイントが明確に説明されています。
この記事を通じて、企業は取引リスクを管理し、財務的安定性を高めていきましょう。
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執筆者 M.S