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アルムナイとは?
アルムナイ(alumni)は、英語で「卒業生」「同窓生」といった意味で知られています。 人事分野では定年退職者以外の退職者を指す言葉して使われています。 欧米の企業では、このアルムナイを貴重な人材リソースと捉え、退職後もコンタクトを取り続けて組織化し、そこから再雇用する「アルムナイ制度」が、一般的なものとなっています。
アルムナイ採用
アルムナイ採用は、企業が元従業員(アルムナイ)を再雇用することを指します。アルムナイは、退職や転職を経て別の組織で経験を積んだ人材であり、元の企業に対して一定の理解や信頼を持っていることが特徴です。
アルムナイが今注目されている理由
売り手市場による採用難易度の上昇、少子高齢高齢化による売り手市場化、人材不足、優秀な人材確保が急務になっているという背景があります。
この中、自社で一度雇っていたアルムナイを採用した方が、外部から新たな人材を確保するよりも効率的であるため注目を集めている採用方法になっています。
退職に対する世の中のネガティブなイメージが払拭されつつある
昨今、退職、転職に関する考え方の変化が変化しつつあります。
以前は、やむを得ない事情は別として、退職にはネガティブなイメージがありました。
しかし、官公庁、大手企業も中途採用を積極的にすることでネガティブイメージが薄れつつあります。
むしろ、TVを観ても分かるように、多くの人材会社、人材エージェントのCMが毎日の様に流れており、転職に対するイメージも前向きなものに変わりつつあります。
アルムナイ採用のメリット
- 即戦力を採用可能
- アルムナイは社内の雰囲気や人間関係を理解しているため、新規採用よりも具体的な社内の戦力として計算できます。採用のミスマッチを回避し、再雇用後の定着率が高いこともあります。
- 企業のブランディング
- アルムナイ採用は、多くの人材が離職後も戻りたいと思える企業であることの証明です。良好な人間関係を保ち続けられるため、イメージアップにつながります。
- 新たな関係性の構築が可能
- アルムナイとの良好な関係を維持していると、販路の開拓や他社との協業が可能になります。
- 教育コストの削減
- アルムナイは一度採用した経験があるため、再教育にかかるコストが少ないです。新人を教育するよりもコスト削減ができます。
アルムナイ採用のデメリット
- 既存社員への影響
- 待遇の差や過去のやり方にこだわる問題が発生する可能性があります。
- 情報漏洩
- 社外の人間であることを理解したうえでかかわる必要があります。情報漏洩に注意しましょう。
- 関係維持のためのコスト
- アルムナイネットワークを形成するためには、専用サイトの開発や維持コストがかかります。
ここでアルムナイ採用の成功事例をご紹介します
- 丸紅のアルムナイネットワーク
丸紅のアルムナイコミュニティ(まるムナイ)は2023年11月に立ち上がりました。
現役の部長級も参加するネットワークになっており、2024年4月16日の時点で250人以上のコミュ ニティになっています。
このコミュニティは、1対1のダイレクトメッセージ、ニュースの投稿、招待者のみのトークルームを備えています。
元々、商社業界は産業界で離職率が低く、退職者との公式のネットワークづくりには消極的でしたが、働き手の価値観が多様化し、幅広いスキルアップや人脈を求める傾向の強まりがありました。そこで、丸紅の宮下高明人財・組織開発課長は「異なる営業本部で活躍していた人材ともつながりやすい。社内外のオープンコミュニティーを推進し、ビジネスマッチングや再雇用につなげたい」と思い立ち上げました。
本日のまとめ
- 自社で雇用経験があるから採用のミスマッチが起きにくい
- 即戦力としての期待
- 採用、教育コストが抑えられる
- また戻りたい会社という環境づくりがブランディングにつながる
- 定期的にコミュニケーションを図れる仕組みなど、うまくアルムナイネットワークを形成できれば、人事戦略としても協業先の発掘など、経営戦略としても有効な一手になる可能性がある
最近では、中途退社した元社員を即戦力として採用するケースが出始めたほか、ネットワークを維持して優秀な人材の採用に役立てる企業も増えています。
様々な経験を積んだアルムナイとどのような価値を生み出すことができるのか。今後のアルムナイコミュニティに期待が集まっています。