2026/08/17
採用

紹介には、責任が生まれる

紹介には、責任が生まれる

「紹介がいちばん」は、たしかに本当だ

採用の担当者に聞くと、たいてい「いちばんいい人が来るのは紹介経由」と言う。数字も、それを裏づけている。採用担当の88%が「紹介が最も質の高い母集団源」と答え、紹介は応募の1割弱なのに、採用の3割近くを占める。入ったあとの定着も高い。理屈のうえでは、紹介採用はいちばん強い。

だから、多くの会社が「もっと紹介を増やそう」と旗を振る。制度を作り、報奨金を用意する。……のだけれど、自分の気持ちに引き寄せて考えると、そう簡単じゃないぞ、と思う。

人を紹介すると、「紹介者責任」が生まれる

だれかを会社に紹介するとき、ついてまわるものがある。「紹介者責任」だ。もしその人がすぐ辞めたり、合わなかったりしたら、「なんでこの会社を紹介したの?」が、紹介した自分に返ってくる。

だから、紹介できるかどうかは、実は「自分がこの会社をどう思っているか」と地続きだ。たとえば自分が「あと1、2年、長くても2、3年のうちには転職するだろうな」と思っていたら、まず他人にこの会社を勧めない。自分が出ていくつもりの場所に、友だちを「おいでよ」とは誘いにくい。

母集団を、数えてみる

ここを、ざっくり数で置いてみる。あくまで仮の試算だ。

たとえば、ある会社で「35歳以下」が全体の20%だとする。その層の平均勤続が5年(10年いる人もいれば1年の人もいる)くらいだとして、いまこの瞬間に「在籍3年以上」の人は、全体の2〜3割ほどに収まる。裏を返すと、残りの7割近くは在籍3年未満で、その多くは「自分もあと数年で動くかもな」と思っている可能性が高い。

そうすると、実際に紹介へ動いてくれそうな人は、全体の20%のうち「長く残るつもり」の層——多く見ても14%くらい、心情的に動く人まで絞ると6%くらい、という計算になる。しかも、その少数のなかで、さらに「この会社になら、責任を持って紹介できる」と思える人は、もっと限られる。お金(インセンティブ)の問題ではなく、紹介者責任という心理のハードルが効いてくるからだ。

つまり、リファラルの母集団は、そもそもこれくらいしかいない。まず、この前提から入らないといけないと思う。「もっと紹介を!」という掛け声だけで母集団を増やすのは、構造的に、かなり難しいことなんじゃないか。

タレントバンクで、どう関われるか(ここは、正直むずかしい)

では、私たちのタレントバンクで何ができるのか。正直に言うと、ここはまだ簡単に答えが出ていない。難しい。

ただ、ひとつ考えているのは、「母集団」を今いる社員だけに限らない、という見方だ。責任を負ってでも「あそこはいいよ」と言える人は、社内にしかいないわけじゃない。気持ちよく辞めていった人(アルムナイ)や、社員ではないけれど店・会社のファン。長くいる・いないの外側にも、勧めたいと思ってくれる人は、たぶんいる。だとしたら、母集団の定義そのものを広げるところから考えたい。

紹介を「増やそう」と急ぐ前に、まず「誰が、なぜ紹介できるのか」を、正直に数えてみる。今日はそこまでの整理だ。そこから私たちの仕組みにどう落とせるかは、これから、じっくり考えていきたい。

Popular posts

List category

List tag