2024/04/15
IPOは通過点

IPOは通過点 #4 株式会社エスティワークス 代表取締役 佐藤 貴則様

冒頭挨拶


池田吉来(以下、池田)「IPOは通過点」株式会社Payment Technology(以下、Payment Technology)がお送りする スタートアップ応援ラジオ「IPOは通過点」 パーソナリティの池田吉来です。

上野亨(以下、上野):株式会社Payment Technology代表の上野亨です。

池田今日は記念すべき第1回目のゲストの方に遊びに来ていただいております。株式会社エスティワークス、社会保険労務士事務所エスティワークス(以下、エスティワークス)代表取締役 佐藤貴則さんです。

佐藤貴則(以下、佐藤)株式会社エスティワークス代表取締役の佐藤貴則です。よろしくお願いします。

池田記念すべき第1回目のゲストですよ。

上野緊張感がめちゃめちゃあるから、もうちょっと砕けていこうよ。

池田もうちょっと砕けていきたいですね。

上野佐藤さんといえばIPO業界の労務関係の守護神みたいな方でして、労務といえばいつも佐藤さんにお世話になってるって感じですよね。

池田そうなんですね。

上野なのでせっかくなんで「IPOの通過点」というメディアを進めていくにあたって、特に佐藤さんが取り組んでらっしゃるIPOと社労士、労務などの領域を是非お話ししようかなと。
僕も実はあんまり聞いたことないんですよね。いつも飲んでばっかりなので、ちゃんと仕事としてどういう風に労務に取り組んでらっしゃるかなどの思いを聞いていければいいなという風に思っています。

池田なるほど、では早速よろしくお願いします。僕も、ビジネスのことは色々と7年8年やってきたんですけど、労務のこととかバックオフィスのことって全然考えたことなかったので、今日は色々私も勉強したいなと思ってます。よろしくお願いします。

佐藤はい、よろしくお願いします。

 

エスティーワークスについて


上野じゃあまずは、エスティーワークスの自己紹介是非お願いいたします。

佐藤改めまして、社会保険労務士の佐藤と申します。神楽坂に社労士事務所がありまして、16年やらせてもらってます。今度の1月24日の創立記念日で17年になります。

社会保険労務士自体が、国家資格なんですが弁護士とか税理士とかよりも知名度が若干低いのですが、どんなことをやってるかというと、企業の雇用管理とか、労働法とかそういうところの専門家として労務顧問なんかをやっています。
私たちの1番の強みっていうのがIPOを目指す会社を労務面で支援するというところなので、お客さんのレイヤーも上場を目指す、IPOを目指して監査法人が入っているような企業が多くて、そのまま上場に向かっていくケースが多いかなという感じです。

 

これからIPOを目指したい会社が労務面で気を付けるべきポイントとは?


池田労務に関しての疑問なのですが、IPOを目指す会社とIPOしないぞっていう会社の中で決定的な労務上の違いとか、これからIPOを目指したいっていう会社さんが労務で1番気をつけなきゃいけないことってどういったところがあるんですか?

佐藤:1番は、第三者の目が入るっていうのがIPOを目指す場合には最も大きな違いです。
オーナー経営者が自分でやってる場合に、従業員のロイヤリティがあったりとか、自分なりのルールで少し違法なところがあったとしても、言い方を選ばないとバレないです。
ただやっぱりIPOを目指すっていうことはパブリックになるっていうことなので、東京証券取引所の審査をしっかりと受けないといけないです。
会社として労務管理がちゃんとできているかというところを審査されます。
それが主幹事証券の審査だったりするんですけど、そこで改めてしっかりと労務管理ができてるか、違法な箇所がないかということをチェックされます。
この第三者の目が入ってチェックが入ると、今まで大丈夫だった許されてたことがほとんど許されなくなってくるという。これがあの1番IPOの直前の会社と、スタートアップとの大きな違いだと思います。

上野例えばどんなところが許されなくなるんですか?

佐藤:一番はですね、やっぱり未払い残業代なんですね。残業代というのは、労働者の賃金請求権という言い方をするんですけれども、まあ今、(消滅時効が)3年なんですね、猶予措置があって。過去2年だったんですけど。言ってみればですね、自分が働いた分の残業代というのは、(かつては)2年後も請求する権利があって、今は3年後も請求する権利があるんですね。これは会社としては簿外債務ということになるので、これが精算されてないとまず上場の審査に入れません。IPOを目指し始めていきなり2年分や3年分を精算する必要があるので大慌てなんですよね。

上野いつぐらいからでしたか?めちゃめちゃ厳しくなったのは。

佐藤昔から厳しかったんですけど、5、6年前ぐらいですかね、厳しくなってますね。

上野労務の時間の管理って結構IPOって独特ですよね。

佐藤:そうですね。

上野IPO目指さなければここまで厳しくないけど、目指し始めるとかなり厳しくなる。これがまさにさっき言ってた人の目が入るっていうことでいいんですかね?

佐藤そうですね。IPOを目指していないけれど第三者の目が入る場合っていうのは、労働者本人が労働基準監督署に駆け込む、もしくは裁判を起こす、請求訴訟を起こすなどそういうことが契機になるので発生率は低いですね。

ただIPOを目指すってなったら、誰かに何か言われなくても、審査上やっておかなきゃいけないので、能動的に精算していかないといけないんですね。そこが大きな違いですよね。

池田なるほど。悪意なく未払い残業代を抱えている会社さんもあると思うんですが、そういった会社さんがこれからIPOを目指すとなると1年2年かけて精算してかなきゃいけないと思うのですが、まずやるべきことってどんなことがあるんですか?

佐藤まずは今垂れ流してる未払い残業代を止めなきゃいけないんです。現時点で勤怠管理ができてない会社っていうのは、今日明日明後日ってどんどん未払い残業代が積み上がっていっています。だからまずは正しい勤怠管理をするということです。正しい勤怠管理をして正しく支払うことをまず始めれば、今日からは発生しないので。その上で、過去の精算をどうしようかっていうのを専門家の力を借りて効率的に精算していくということです。なので今きちっと整理して今後発生しないようにするっていうのがまずやらなきゃいけないことです。

上野今はリモートワークが広まっていますが、どのように管理しているんですか?

 

IPO独特の労務の観点とは?


佐藤これもIPOの労務の独特なところではあるんですけど、実態乖離っていうのをすごく指摘されます。これはですね、本当に働いていた時間と勤怠システムに打刻されている時間に差があるんじゃないかと。いわゆるサービス残業みたいなことなんですけど、これがコロナ禍でテレワークが増えたことで余計に家ではもっと働いているんじゃないかとか、システムで打刻してるけれども本当はやってんじゃないかとかいう話があがります。
そのような、実態乖離を解消するために企業がいろんなことを検討してるんですけれども、やっぱり審査で指摘される時は、パソコンのログをしっかり取って比較してくださいと言われるんですね。
なのでパソコンのログをしっかり取って、勤怠システムと付き合わせをして、時間の差異っていうものが何であったのかというところをやって初めて許されるという感じですね。
例えばパソコンのログや入退室管理などで、パソコンでは打刻したけど、その後残業してそこから退出したりとか、そういうギャップのところが非常にうるさく見られるので、工夫して取り組まないといけないです。

上野これはIPO独特ですよね。

佐藤独特ですね。スタートアップの企業がパソコンのログ取りながら残業管理するなんて考えられないですよね。

池田ちょっと余談になっちゃうかもしれないんですけど、僕が今27歳でちょうどみんな社会人として油が乗ってきて、中にはスタートアップから上場準備に入ったような知り合いがいて、仕事量はすごい多いんだけれどもやっぱり残業代これ以上出るとまずいからって勤怠の打刻をした後に働いてたら、パソコンのログを取られてて怒られたみたいな話があって。
そんな大変なんだっていうのを初めて聞いたんですけど、仕事したいのにするなって言われるのって、IPOに向けての労務管理を気にしてたんだなっていうのを改めて知って、なるほどなって思いました。

佐藤そうですね、やっぱりコンプライアンスなんで、法律を守らなきゃいけないっていうところが第一前提になってますので、先ほどお話ししたように賃金請求権が3年ある以上、今はいいけども、3年後にもし綺麗にしようってなった時には3年前のものまで整理しないといけなくなると。先々に残してしまうっていうところがやっぱり恐ろしいところなんですよね。

上野未払い以外で他に論点とかってありますか?

佐藤健康管理のところですね。長時間労働の管理っていうところを非常に多く見られると思います。

上野45時間を超えたところからでしたっけ?

佐藤36(サブロク)協定というもので月45時間の上限規制があり、それはもちろん遵守しないといけないんですが、それ以上に長時間労働っていうのがいわゆる3ヶ月で平均して80時間とかがあると、過労死とかの訴訟につながる可能性があるんですね。

佐藤安全衛生上の配慮をしてないということになってしまうと、もし過労死で亡くなられると過労死訴訟というものもあり、億単位で訴訟されるんですね。

上野億単位…僕にそんな価値ありましたっけ?

佐藤30代ぐらいの方が高いです。実際、スタートアップの場合って従業員のロイヤリティが非常に高いじゃないですか、社長について行ってるんで。みんながむしゃらについていくんですけど、それで体を壊して万が一不幸にも亡くなってしまった場合、遺されてるのはご遺族になるので、なかなか帰ってこなかったっていうことでご遺族の方が訴訟を起こして、労災訴訟にもつれこんでいくと非常に大きなインシデントになるんですよね。

上野なるほど。佐藤さんが言うってことは事例があったってことですよね。

佐藤事例ありますね。

上野僕はそういう事例はないからかもしれないですけど、やっぱり大変ですね。

佐藤そうですね。まあただ最近は採用も大変なんで、在宅も増えたっていうのもあって、長時間労働を減らそう減らそうという動き自体が、前向きな動きとしてトレンドになってるとは思うんですけどね。

上野なるほど、分かりました。ずっと前から佐藤さんに聞きたかったことがあるのですが、ベンチャー周りの労務をやられてる方って、ある意味社労士の中でも独特ですし、IPOのところを知ってる社労士の方っていうのも、これもまたすごい少ないんですよね。

そういったなかで、佐藤さんがなんでこの分野に入っていこうという風に思ったのか、ベンチャーとかスタートアップとかを支援していく佐藤さんの思いってどこから来ているのでしょうか?

佐藤私が社会保険労務士になる前のサラリーマン時代っていうのは、非上場の会社に新卒から入ったんですね。その非上場の会社JASDAQ、いわゆる店頭公開場という形で上場して、上場前と上場後を知ってるんですけれども、やっぱり労務管理っていうのが非上場の頃は整備されてなかったですね。

上野何年前ぐらいですか?

佐藤もう20何年前です。

上野そうか、そんな前か。その頃は確かに、先ほどの話のような長時間労働が80時間というような問題があったのでしょうが、ほとんど考えずにやっていましたよね。

佐藤その時に会社のマネージャーという立場だったのですが、労務の知識がないっていうのが非常に大変な思いをしました。IPO、いわゆる上場する会社はその辺をやっていかないといけないんだということを社会保険労務士の資格を取った頃からしっかり思っていたんですよね。
たまたまIPOの案件に恵まれて、そこでサポートをするようになってから、IPOの労務支援って社会保険労務士の試験に出てこないので、やっぱり現場で経験を積み重ねていくことで、こんな質問が来るんだとかこういうことをやらなきゃいけないんだっていうことを身につけていったって感じですね。でもやっぱりもったいないなって思うことも多くあって、スタートアップですごく勢いもあって、収益も右肩上がりなのに、労務問題で一気につまづくケースっていうのが後を立たないというか、いまだに非常に多いんですよね。

上野これは不思議ですよね、こんなにポピュラーな課題になってるのに未だにずっとあり続ける。でもちょっとずつ厳しくなってるような気もしてるけどね。

 

スタートアップがIPOを目指すにあたって必要なこととは?


佐藤やっぱりどうしても労務の方については、優先順位が後回しになっちゃうんですね。従業員のロイヤリティが高いので、社長と一緒に頑張っていくんだって人が多いから甘えちゃう部分があって、どうしても後回しになっていくっていうことがあります。
だからこそ、私としてはスタートアップがIPOを目指すにあたって絶対にやっとかなきゃいけないことっていうのが2つあると思っています。
1つがまず雇用契約書。これはすごく大事なんですね。もうそれが後々全部繋がっていくので。

上野これは入社する時に書くあれですか?

佐藤そうです。要するにどんな仕事をします、どういう風に働いてもらいます、お給料はいくらですなどそういったことが、全部雇用契約書に書かれるんですね。

上野雇用契約書って結んでない会社も結構あるってことですか?

佐藤ありますね。

池田そうなんですね。

上野だからそれをちゃんとスタートアップの会社でも最初から雇用契約書を結んでおきましょうということですね。

佐藤:そうですね。後からどんな契約だったかなっていう話になるんですね、絶対。なのでそこは絶対にやっとかなきゃいけない。

上野なるほど。ちなみに今結んでない会社があったとしたら、今からでも結び直した方がいい?

佐藤もちろんそうですね。2番目が勤怠管理ですね。IPOの審査をやってる時に未だにあるんですけど、勤怠管理してこなかったんだけどっていう会社がいっぱいあるんですね。勤怠管理さえしておけば、もし適正に払ってなかったとしても後で修正することができるんですね、精算をする時に。
そもそもどれぐらい働いたか全くわかんないって言われると、精算できないじゃないですか。計算ができないから精算できないっていうことになって、精算できないとIPOできないんですね。
なので証跡をちゃんと残しておくっていうことなんですよね、雇用契約書、勤怠管理しかり。証跡を残しておけば後で修正できるので、まずはその2つは絶対やってかないといけないというとこですかね。

上野これは重要だな。勤怠管理のところは僕も以前、審査とかのシーンでよくしてたんだけど、雇用契約は言われて見たらと思った。

佐藤逆になんでしょう、今言ったのはやらなくちゃいけないこと。後回しにしてもいいというとちょっと語弊があるんですが、今すぐやらなくてもいいっていうのが人事評価制度だと思います。
やっぱりスタートアップが人事評価制度を作るっていうのはちょっと荷が重いんですよね。賃金にまつわる等級制度は作ってもいいかなと思うんですけど、評価制度って回していくのがすごく重たいので、まずはコンプライアンスをしっかりと徹底して、その後に次のステップで評価制度をやればいいと思うんですね。人事労務ってやらなきゃいけないことが山積みなので、限られたリソースの中でどこから着手していくかっていうところの優先順位をしっかりつけていくことが大事ですね。

池田めちゃめちゃ勉強になりました。最後に、佐藤さんからリスナーさんに向けて告知いただけたら嬉しいなと思うので、お願いいたします。

佐藤IPOの労務支援というところを主軸に置いてますので、IPOを目指す、またはこれから目指したいというベンチャー企業の方々に、腕のいい社会保険労務士を探していれば、手を上げさせていただきたいです。

上野私はいつも佐藤さんを紹介してます。

池田そうですよね、上野さんももう創業当初から佐藤さんにお願いしているんですよね?

上野そうです、私もいろんな会社の上場支援をしてきてるんですけど、もう労務ってなった時にはすぐに佐藤さんを紹介しています。

池田困った時の佐藤さんみたいな感じなのですね。

上野まさにそうですね。

池田なるほど。僕もまたこれから会社を成長させたい時には是非佐藤さんにお願いしたいなと思いますので、よろしくお願いします。

では、記念すべき第1回目のゲスト、エスティワークス代表取締役佐藤さんでした、ありがとうございました。

 

本内容の音源は、以下からご視聴ください。

IPOは通過点 #4 株式会社エスティワークス 代表取締役 佐藤貴則様 – YouTube

 

■ 出演企業 概要
会社名 :株式会社エスティワークス
本社 :東京都新宿区箪笥町34 VORT神楽坂I 5階
代表者 :代表取締役 佐藤 貴則
企業URL:https://www.st-works.com/

 

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