
面接だけでは、わからない
採用で、いちばん怖いのは何か。たぶん「入ってみたら、合わなかった」だと思う。
求人票を出して、書類を見て、面接を何回かして、決める。でも、30分や1時間話しただけで、その人が現場でどう動くかはわからない。働く側も同じで、求人票と面接だけでは、職場の空気も、一緒に働く人の顔も、本当の忙しさもわからない。お互いに、よく知らないまま決めている。
先に一緒に働いて、それから決める
最近、この順番が逆になる動きが出てきている。
スキマバイトのタイミーが2026年春に出した調査では、長く働きたいと考えているワーカーの48.0%が、単発で働いた先から「うちで長く働かない?」と声をかけられた経験があった。事業者の側では、98.2%が「いい人がいれば長期で採用したい」と答え、実際に声をかけた事業者の66.4%が長期採用につながっている。そのうち24.7%は、正社員として迎えている。
タイミー自身の調査なので、そのまま受け取らず割り引いて見る必要はある。それでも、「一回働いてもらって、よかったら声をかける」という流れが、現場でふつうに起きていることは伝わってくる。
7割は、知らなかった業種へ
もうひとつ、面白い数字がある。スキマバイトをきっかけに長く働くようになった人の73.0%が、「その業種で働いたのは初めてだった」と答えている。
倉庫、介護、飲食、ホテル。外から見ていると、きつそう、自分には無理そう、と思ってしまう仕事は多い。でも、一度入ってみたら、思っていたより柔軟だった、負担が少なかった、という声が出てくる。求人票を眺めているだけでは、たぶん応募しなかった仕事だ。
単発で働くことは、知らなかった会社や業種と出会う入口になっている。
一度働いた人は、もう「知らない人」じゃない
事業者の56.5%は、スキマバイト経由で採用した人のほうが辞めにくいと答えている。理由の上位は、「業務のイメージとのギャップが少ない」「既存スタッフとの相性が事前に確認できている」。考えてみれば当たり前で、もう一緒に働いたことがあるのだから。
大事なのは、その場ですぐ長期採用にならなくても、関係は残るということだと思う。一度来てくれて、いい働きをしてくれた人。その人は、会社にとってもう「知らない人」ではない。今は学生でも、来年は時間ができるかもしれない。今は別の仕事をしていても、いつか転職を考えるかもしれない。そのときに声をかけられる相手が、何人いるか。
単発の出会いを一回で終わらせずに、つながりとして持っておく。それが、会社にとっての「タレントプール」になる。
私たちの視点
私たちは、どの会社も自分のタレントプールを持てる世界をつくりたいと思っている。正社員の募集だけでは、人はなかなか動かない。でも、スキマの時間なら動ける。そこで一度一緒に働いて、お互いを知る。その先に、正社員の縁が生まれる。
そして、その縁は、間に入る誰かのものではなく、会社と働く人のあいだに直接残るものであってほしい。一度一緒に働いた人と、会社が直接つながっておける。それが当たり前になれば、採用はもっと「知っている人に声をかける」ものになっていくんじゃないか。
まず、一緒に働いてみる
面接を何回重ねても、わからないことはある。だったら、先に半日でも一緒に働いてみればいい。働く側も、会社の側も。
採用の順番が逆になると、出会いの数が増える。その出会いを、一回で終わらせない。まず一緒に働いて、つながっておく。正社員の採用は、そこから始まるのかもしれない。
出典:株式会社タイミー「タイミーを通じた勤務をきっかけとした長期就業・長期採用に関する実態調査(2026年4月版)」2026年4月13日(ワーカー408名:2026年3月3〜21日、事業者163社:同3月5〜10日、インターネット調査)=打診経験48.0%・長期就業経験15.4%・未経験業種73.0%・長期就業メリット「業務内容の事前把握」「相性確認」各66.7%/事業者:長期採用意向98.2%・打診78.5%・うち実現66.4%・うち正社員採用24.7%・離職率が低い56.5%(理由:ギャップが少ない87.5%・相性確認85.4%)。参考:タイミーキャリアプラス(2024年2月開始、内定承諾者の約3割が人生初の正社員)。※いずれも企業発表の数値。