2023/10/31
請求書

実は変わる!端数処理方法が変わるインボイス制度

請求書の消費税に1円以下の端数が発生するシーンは少なくありません。
1円未満の端数処理については、法で定められておらず企業や事業者が自身の判断で「切り上げ」「切り捨て」「四捨五入」のいずれかの方法を選択しても問題ないとされています。
実はインボイス制度導入後の2023年10月1日以降は消費税の端数処理方法も変更となります。
これまでは自身の判断で行えたため、切り捨てで対応している企業が多かった1円未満の端数ですが、インボイス制度においては、端数処理に関するルールが定められています。
そのルールは「1つの適格請求書につき税率ごとに1回の端数処理を行わなければならない」というものです。
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1つの適格請求書で税率ごとに1回のみの端数処理でいい?

上記の通り、1つの請求書ごとに1回の波数処理を行わなければならない、というルールがインボイス制度導入後は始まります。
ここで注意しなければならないのは、1つの請求書で10%と8%の税率がある場合、それぞれに対して端数処理を行い合計する処理をする必要がある、ということです。
標準の10%税率と8%の軽減税率が混在している適格請求書の場合、それぞれの税率で一度波数処理を行ったあとに、金額を合算し記載する必要があります。
例えば、商品がA、B、C、Dの4つ記載されている請求書で、AとBは8%、CとDは10%の税率の場合の処理方法は、それぞれの商品の金額に対して消費税を端数処理で計算するのではなく、AとBの合算金額で端数処理、CとDの合算金額で端数処理をする、が正しい方法となります。

消費税の積上げ計算を活用しよう

現行の区分記載請求書保存方式では、消費税の計算は「割戻し計算」が採用されています。
ただ、インボイス制度が導入された後は「積上げ計算」も選択できるようになります。
積上げ計算は請求書に記載されている消費税の合計額(積上げ)から売上税額を計算することができる方式のことを指します。
インボイス制度導入後は、相手方に交付した適格請求書の又は適格簡易請求書の写しを保存している場合には、これらの書類の記載されている消費税額等の合計額に100分の78を掛けて算出した金額を売上税額とすることができます。
(国税庁:Ⅴ 適格請求書等保存方式の下での税額計算 から引用)

小売店といった一般消費者への取引が多い業種や、少額の領収書を多く発行する業種では積上げ計算の方が有利に働く場合もあるようです。

複数の書類で適格請求書の記載要件は満たすことができる

インボイス制度では、規定されている記載要件を満たした証憑書類は適格請求書として扱うことができます。
証憑書類としては、請求書や納品書、領収書といったものがあります。
適格請求書として扱われるためには、1つの書類で記載要件を満たさなければいけないと思いがちですが、複数書類で記載要件を満たすことで適格請求書として扱うこともできます。
例えば、請求書に記載要件である適用税率を記載し、納品書に残りの記載事項を記載した場合、両方を併せることで適格請求書として扱うことができます。
ただし、複数の書類を併せなければ適格請求書として認められないため、書類ごとの関連性を明確にしておく必要があります。

適格請求書とする場合の端数処理~複数の書類の場合~

1つの書類で端数処理を行う場合については、2つ以上の複数書類で端数処理を行う場合には注意が必要です。
複数処理を扱う場合には「1つの適格請求書につき税率ごとに1回の端数処理を行わなければならない」というルールを守っていきましょう。
請求書と納品書という2つの書類で適格請求書として扱う場合には、端数処理の計算を行う書類はどちらか一方になるはずです。両方の書類で同じ内容の端数処理を行ってはいけません。
例として、請求書で端数処理をする場合と納品書で端数処理をする場合を見てみましょう。

月1回の請求書で端数処理をする場合

月1回の請求書で端数処理を行い、納品書で不足する記載事項を補完する場合、以下の図のように記載いたします。
請求書に登録番号や適用税率などを記載するとともに、取引内容の詳細を納品書に記載していきます。
このように2つの書類で記載要件を満たすことで、適格請求書として扱うことができます。
つまり、この場合では請求書と納品書を交付することによって適格請求書の交付義務を果たすことができるということです。

国税庁:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 

※記載事項について

記載事項①:適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
記載事項④:課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
記載事項⑤:税率ごとに区分した消費税額等 

各4枚の納品書で端数処理をする場合

「税率ごとに区分した請求税額等」を納品書に記載する際には、納品書で端数処理の計算を行います。
下の例を見てもらうと、請求書の方に登録番号が記載されており、納品書の方で「税率ごとに区分した請求税額等」を記載することで、併せて適格請求書として扱うことができるようになっています。
ただ、納品書においても1つの納品書につき税率ごとに1回の端数処理となっているので、気を付けましょう。

国税庁:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 

消費税額の計算方法:適格請求書に記載する場合

請求書に記載する消費税額を計算する場合には、1円未満の端数が生じることがあります。
現行の区分記載請求書では、消費税の端数処理のルールは決まっていませんでしたが、インボイス制度では「1つの請求書につき、税率ごとに1回ずつの端数処理を行う」というルールが定められています。
なお、端数を切り上げるか切り下げるかといった処理は事業者が任意で行ってよいことになっています。
以下に具体的な計算方法について解説していきます。

消費税額の計算方法:税抜金額をもとにする場合

税抜金額をもとに消費税額計算を行う場合には、まず各商品の税抜価格を標準税率(10%)と軽減税率(8%)ごとに分けて合計金額を出します。
その合計金額に対し、10%もしくは8%を掛け端数処理を行います。
各商品ごとに消費税額計算を行い、その値を税率ごとに合算して請求書に記載することはできません。

消費税額を計算する方法:税込金額をもとにする場合

税込み金額をもとに消費税額計算を行う場合には、各商品の税込価格を税率ごとに分けて合計金額を出します。
その合計金額に対して、標準税率なら10/110を、軽減税率であれば8/108を掛けた金額に端数処理を行います。

まとめ

インボイス制度における、消費税額の計算方法、端数処理について詳しく解説いたしました。
インボイス制度が始まると、適格請求書において「1つの請求書ごとに1回の端数処理を行わなければならない」なるため注意が必要です。
端数処理の計算方法や記載方法について、本記事を参考にしっかりと理解していきましょう。
また、インボイス制度では消費税の計算方式として「割戻し計算」と「積上げ計算」が採用されています。
メリット・デメリットを比較してどちらの方式を選択するか、検討していきましょう。

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執筆者 K.R

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